望郷星271
「無我の境地になんてなれないだろうから、とにかく音無しの構えを貫くしか無いと思うんだ」と僕は提案した。
僕は言った。
「とにかく一人にはならず、最小限二人でいる事が必要だと思うんだ。眠る時も必ず二人が起きていて、順番に眠る、そんな感じしかないと思う」
母さんが異議を唱えた。
「でもそれは事実上無理だろう。私は病み上がりだし、嫁さんは身重なのだから、睡眠取らないと、それこそアウトじゃないか」
僕は相槌を打った後母さんに向かって注意を促した。
「母さん、村瀬が聞いている可能性があるから余りこちらの弱みを言ってはならないと思うんだ。それに母さんの言い分は分かったよ。二人が寝ている時は従来通り俺が起きているからさ」
続いて妻が言った。
「貴方はどうやって奪われた瞑想を奪還するの?」
僕は答えた。
「いや、それは今の段階では何も考えていない。考えれば村瀬に先読みされて、その目論みを今も母さんに言った通り潰されるだけだからな。行き当たりばったりと言ったところかな」
母さんが首を傾げ言った。
「逆に村瀬と言う邪神は私達の心を読んで、その変化を弄ぶのを愉しんでいるのだから、いたずらに冷静さを装っても仕方ないのじゃないか、馬鹿息子」
僕は答えた。
「いや、だから冷静に戦略を練っても無駄だから、警戒だけを怠らず、危機を一致団結して回避しながら感覚を研ぎ澄ます、機転良く瞑想を奪還するしか無いと思うんだ」
妻が頷き言った。
「そうね。何をしても敵の術中にはまり破滅に向かっているのならば、音無しの構えで防備にだけ万全を尽くし、直感を頼り流れを変えるしか方法は無いものね」
僕は泣き笑いの表情を浮かべてから言った。
「無我の境地になんてなれないだろうから、とにかく音無しの構えを貫くしか無いと思うんだ」




