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望郷星269
「これはもう貴方だけの問題ではなく、家族全体の問題なのだから、お母さんも説き伏せるしかないじゃない」と妻は言った。
妻がため息をつき言った。
「村瀬さんは貴方をじわじわと破滅させて愉しんでいるのね」
僕は嘆息交じりに頷き言った。
「そうだ。だから俺は田村がいない今、瞑想も気功も出来ない状態のまま死中に活を見出だし、何とか瞑想装置の完成体にならなければ破滅なのに、絶望的でしかない状態が続いているわけだ」
妻が再度ため息をついた後気を取り直すように言った。
「私は貴方が瞑想装置の完成体に成れるように出来る限りサポートするわ。それとこの事はお母さんにも言った方が賢明だと思うのよ。警察に相談したり、医者に診て貰うと言う無駄な動きを封じ込める意味でも、そうした方がいいと思うのよ」
僕は苛立たしい間を置いてから答えた。
「余りにも常識から掛け離れた話しだし、母さんは理解してくれるだろうか?」
妻がいみじくも言った。
「これはもう貴方だけの問題ではなく、家族全体の問題なのだから、説き伏せるしかないじゃない」




