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望郷星268
「いや、それは単なる希望的観測で甘過ぎる意見だと思う。逆に言えば村瀬はそういった俺達の希望的観測や油断を全て覆し、今に至っているわけだし」と僕は妻に言った。
僕は妻に対して反論した。
「いや、それは単なる希望的観測で甘過ぎる意見だと思う。逆に言えば村瀬はそういった俺達の希望的観測や油断を全て覆し、今に至っているわけだし」
妻が俯き顔をしかめてから言った。
「でも少なくとも成美ちゃんが村瀬さんに加担して貴方を攻撃している事は無いでしょう。違うかしら?」
僕は青ざめたまま小刻みに首を振り言った。
「いや、その可能性をも視野に入れて戦った方がいいと俺は思うのだ」
妻が渋面を作り言った。
「でも逆に言えば、軍師とも言える田村さんを欠いた今、貴方に勝ち目は全く無いじゃない。そうでしょう?」
僕は血走った眼をぎらつかせながら言った。
「とにかく死力を尽くしてお前とお腹の子と、それに母さんを守り通して、田村の言う通り、死中に活を見出だすしか道は無いと思うのだ」




