望郷星255
「少し眠くなって来た。すまないが先に寝かしてくれ」と田村は力なく言った。
田村が半ば諦め顔を作ってから力なく言った。
「生かさず殺さず弄ばれるだけなのか俺達は…」
僕は息苦しさを抜く為に顔を横に向けて口で息を吸い込み言った。
「つ、つまり村瀬の思惑が俺達を弄ぶ形を愉しんでいるのならばまだ俺達に望みはあるのだが、それに加味して成美ちゃんと村瀬の絆も微妙に反映されて来ると俺は思うのだ」
顔が痣だらけで腫れ上がっている村瀬が鈍痛に顔をしかめつつ言った。
「成美ちゃんが村瀬に何かしらのプレッシャーをかければ望みは高まるとお前は言いたいのか?」
僕は一度意識がぼやけ遠ざかるのを感じ、それを振り払う為に故意に強い口調で言った。
「そ、そうだ。成美ちゃんが再度加勢してくれれば俺達の望みは高まるからな。それを期待するしかあるまい」
田村が辛そうに眉をひそめ言った。
「成美ちゃんは村瀬の為に動いている公算が高いから、それは余り期待出来ないだろう…」
僕は眠くなるのを堪えて言った。
「な、ならば村瀬の尽きせぬ悪意に期待して継続して弄ばれる事に期待するしかあるまい、田村」
田村が小さく頷き力なく言った。
「少し眠くなって来た。すまないが先に寝かしてくれ」




