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望郷星251

「そうだな。じわじわと苦しみ悶えて死ぬよりは殺し合った方がまだ増しだよな。ならば田村お前が俺を殴り殺して、その後自害する方向性で頼む」と僕は田村に訴えた。

田村が言った。





「しかしいずれにしろ俺達には欠如分があり、事を為せば全て成功する確率可能性は五分ならば、理論立て等そこそこにして、この緊迫した状況の中殺し合い実行あるのみではないか」




僕は渋面を作りつつも同意した。




「そうだな。ここは実行あるのみの場面ならばやるしか道はなく、それならば田村、お前が俺を殴り殺してくれないか?」





田村が訝る。





「何故だ。殺し合いをすれば残った方は満身創痍になっており、自害するしか選択肢は無いではないか?」




僕はこの時点で最後の反論を試みた。




「それはそうだが、俺が残ったとして俺には自害する勇気は多分無いし、やがて衰弱死するならば、殺し合うのも衰弱死も死ぬ事には変わりなく、逆に言えば衰弱死の方が満身創痍にならない分、絶対死を免れる可能性は高いと思うのだが、どうだろう?」




田村が応じる。





「全て五分の確率可能性しか無いのならば、苦しみを半減させ早期に死を決する殺し合いの方が俺は増しだと思うのだが、どうだ?」





僕は息を調え恭しく相槌を打ち応じた。





「そうだな。じわじわと苦しみ悶えて死ぬよりは殺し合った方がまだ増しだよな。ならば田村お前が俺を殴り殺して、その後自害する方向性で頼む」





僕が田村に頭を下げたので、田村が俯くように頷き、憂いを湛えたまま答えた。





「分かった。そうしよう」

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