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望郷星250

「そこが賭けなのだ。どちからでも殺された時点で、各々を制御している母体陽神がその死を感知して鋭意蘇らせるかどうかが、それぞれの生死を分けるポイントとなると俺は思うわけだ」と田村が言った。

僕は首を振り訝った。





「しかし賭けと言われても勝算が殆ど無い賭けには、どうしても踏み切れないのが人情だし、何か勝算としての理論立ては無いのか、田村?」





田村が辛そうに顔をしかめつつ沈思してから答えた。




「人間存在及び陽神陰神もそうだが、究極的にはあらゆる二元論的存在は気の集合体であり、その凝固した気が分散して行くのが死の概念ならば、それを自在にコントロール出来るのが俺達陽神なわけだ。だから所謂生死を自在にコントロールすべく、殺し合い、死んだところで、この陽神なる肉体と繋がっている母体陽神が、改めて気を集合させれば、新たなる生命体として位相転位し蘇ると言う理論立てとなるわけだ」





僕は反論した。




「しかしこの迷路では肝心要の番いたる陽神同士の通信瞑想は封印され絶たれているし、これではお手上げ状態ではないか。それはどうするのだ?」





田村が答える。





「そこが賭けなのだ。どちからでも殺された時点で、各々を制御している母体陽神がその死を感知して鋭意蘇らせるかどうかが、それぞれの生死を分けるポイントとなると俺は思うわけだ」




僕は注釈を入れた。





「母体陽神がこちらの死を感知しなければ全て御破算一巻の終わりか?」





田村が答えた。





「そうだ」

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