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望郷星248
「血を見て殺し合い、片方が死んだら、殺した者は自害すればいいと思う」と田村は言った。
僕は固唾を飲み込み言った。
「おい、殺し合うって、本当に殺し合うのか?」
田村がしんどそうに答える。
「本当に殺し合わないと、点は位相転位しないだろう。言わば吊橋からのジャンプと同じ理屈で死中に活を見出だすわけだ」
僕は再度固唾を飲み、改まった口調で尋ねた。
「血を見て、本当に殺し合うのか?」
田村が喘ぐ息遣いのままに言い切る。
「血を見て殺し合い、片方が死んだら、殺した者は自害すればいいと思う」
僕はやり切れない顔付きをしてから言った。
「だったら吊橋を見付けて、吊橋からジャンプすればいいじゃないか?」
田村が首を振り再度言い切る。
「時間が無いのだ。そんな悠長な真似をしていたら、俺もお前も衰弱死して共倒れになってしまうからな」
僕は泣き笑いの顔をして言った。
「しかし殺し合うにしても、こんなよぼよぼ状態じゃ止めすら刺せないではないか?」
田村が眉をひそめ喘ぐ息を調えてから言った。
「渾身の力を出し切って殺し合うしか無い。そして返す手で自害するしか無い」




