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望郷星247

「二人で殺し合うのだ」と突破口を見出だすべく田村が提案した。

迷路をとぼとぼと歩き振り返ると、違う道になっていて、又正面に向き直り、振り返ると違う道になっている変幻自在な迷路は、その変幻自在故に苛立ちと憔悴感を否応なしに強いる。




田村が俯き乱れた息遣いを調えてから言った。





「やはり狂っての昏睡状態の顕在化は無いな。逆に言えばあれがこの位相脱出の突破口になるのに、それさえも完全に封じ込められてしまっているな」





僕も立ち止まり乱れた息を調えてから言った。





「正にお手上げだな。万策尽きた状況だな」





田村が両膝を両手で掴み、喘ぐように深呼吸してから言った。





「ならば一つだけ方法があるぞ。試してみるか?」





僕も田村と同じ姿勢を取り、喘ぐ息遣いを調えてから尋ねた。





「その方法とは何だ?」





田村が苦しそうに胸で息を吸い込み吐き出してから言った。





「発狂し、昏睡状態を二人して自作自演でこさえるのだ」





僕は意味が分からず再度尋ねた。





「それはどんな意味だ。具体的に言ってくれ?」





田村が答えた。





「つまり俺達の中にある命を支える点を仮死状態にして強引に位相転位させるのだ」





僕は訝り尋ねた。




「もっと具体的に言ってくれ?」





田村が再度喘ぎつつ深呼吸してから言った。





「二人で殺し合うのだ」

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