望郷星236
「出来るさ。負けたら一巻の終わりなのだから、ここは意地と根性で耐え抜き、次なる開拓をして行くしか道はないではないか」と田村は助言して来た。
僕は堪らず田村のアドバイスを仰いだ。
田村が答える。
「それは明らかに村瀬の仕業だと俺は思うが困ったものだな…」
僕は胸騒ぎを覚え尋ねた。
「それはどういう事だ、田村?」
田村が腕を組み難しそうに顔をしかめてから答える。
「国家間のサイバー攻撃の如く、お前の言わば自我を村瀬に乗っ取っられ、それに完全に心を制御制覇されてしまえば、その攻撃は防御不能だと言う事だ。我思う故に我ありの部分が村瀬に取って変われば、それは村瀬そのものであり、今お前が抱いている自意識にも完全に風穴が開き空洞化して完全無欠な欠如分が出来るわけだから、お前はお前であってお前ではない村瀬となり、心の軸が狂ったお前が表面上為建設的な行為をしても、裏も表も無い一元的な形而上次元相で尽きせぬ破壊をもたらす事は間違いない事実となるだろうな」
僕は固唾を飲み尋ねた。
「俺はどうしたら良いのだ?」
田村が息をつき答える。
「とにかく自分を見失わない事が肝心だと思う。しっかりと自我を明確に保つ事が肝心であり、欠如分としての自我の空洞化を何が何でも気力で防ぎ、これを逆手に取って瞑想装置へのステップを踏襲して行くしか道は無いだろうな」
僕は言った。
「この心理ダイブ乗っ取り作戦を、逆に与えられた試練として捉らえ、村瀬の乗っ取りを防ぎながら精神面を鍛える事が、そのまま瞑想装置へのステップアップだと考えればいいと、お前は言いたいのか、田村?」
田村が恭しく頷き答えた。
「前向きに言えばそうなる。村瀬は言わば戦法を変え、お前のライフラインを絶つ、言わばサイバー攻撃を仕掛けて来たのだから、それを逆手に取って、精神面を鍛え瞑想装置へのステップアップをして行くしか手は無いと俺は思う」
僕は小刻みに震え動揺しながら言った。
「俺に出来るだろうか?」
田村が激励して来た。
「出来るさ。負けたら一巻の終わりなのだから、ここは意地と根性で耐え抜き、次なる開拓をして行くしか道はないではないか」




