望郷星234
「うろたえるな。然るに、お前はお前自身である俺の忠告を局面打破の為に必要とし、自ら自問自答しており、この俺の声を防ぐ事能わずではないか。そしてお前の妄想たる自己同一性障害は広がる一方であり、お前は村瀬本人である事をやがて疑わなくなる。それこそが俺がお前であり、お前が俺である確かな証左ではないか。愚か者め」と僕の中の僕は言った。
もう一人の僕がうそぶくように言った。
「はっきりと言えば、お前は自他の区別が全くつかない、狂人、乱心者なのだ。お前が目の当たりにしている現実は言わばお前自身が作り上げた妄想でしか無いのだ」
「嘘だ。自他の区別がつかなければ俺はこうして平凡な日常生活すら送れないではないか。出鱈目を言うな!」
「それならばもっと明言してやろう。お前の自我は既に全うき崩壊しており、お前はお前に非ず村瀬本人なのだ。だからお前が目の当たりにしている平凡なる日常こそが同時に宇宙を破壊しているワームホールの所作所業であり、お前が愛でる人間らしい喜怒哀楽や慈愛は全て陰陽の如く裏腹、真逆に破壊及び破壊衝動に繋がっているわけだ」
「出鱈目を抜かすな。お前は俺の心にダイブして俺の深層心理を乗っ取った村瀬なのだろう。違うのか!」
「たわけた事を言うな。裏も表も無いメビウスのの輪の如く世界に在って、俺はお前であり、お前は俺なのだ。その自我の同一性こそが、自己同一性障害を引き起こしたのだから、お前は間違いなく破壊神たる村瀬本人なのだ。愚か者め」
「俺が村瀬だと言う確たる証明が無いではないか!」
「うろたえるな。然るに、お前はお前自身である俺の忠告を局面打破の為に必要とし、自ら自問自答しており、この俺の声を防ぐ事能わずではないか。そしてお前の妄想たる自己同一性障害は広がる一方であり、お前は村瀬本人である事をやがて疑わなくなる。それこそが俺がお前であり、お前が俺である確かな証左ではないか。愚か者め」




