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望郷星223

「未練は無い」と僕は言い切った。

田村が言った。





「だがお前は既に成美ちゃんの分身に恩返ししているではないか?」




僕は否定した。





「俺が救われたのは成美ちゃんの分身ではなく、本体の方だ」




田村が再度言った。





「お前は永遠なる母親を求めこの惑星に来て、誰も真似る事の出来ない親孝行を果たし、結婚までして子供も出来幸せの絶頂にいるではないか。それを棄てて何故自ら絶望の淵へと舞い戻るのだ?」





僕は秘めた真意を隠すべく無表情に答えた。





「この惑星での俺の役割は終わったと言う事だ。それに俺が立ち去ったとて、俺の分身はこの惑星で幸せを限られた時空間の中で享受するだろうし、逆に言えば俺が旅立てない理由は何処にも無いではないか」





田村が僕の意向をまさぐるような、そんな間を置き尋ねて来た。





「それでお前に未練と言うか、悔いは無いのか?」





僕は真っ直ぐな感じを崩さずに答えた。





「無い。と言うか、この惑星での慈愛は永久のものではないし。俺は元々永久の母親、永久の心の故郷を求めて多次元宇宙の狭間を旅していたのだから、旅立つ事は元に戻るだけの話しなので、未練など全く無いと言えるわけだ」


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