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望郷星218
「だが成美ちゃんは寂しいのに、何故自分の居所を言わないで伏せるのだ?」と僕は尋ねた。
僕は海浜公園の迷路を背景にして漂いながら尋ねた。
「だが成美ちゃんは寂しいのに、何故自分の居所を言わないで伏せるのだ?」
田村が背景の風に揺れる吊橋からジャンプするような仕種を無邪気にしてから答えた。
「成美ちゃんは村瀬と俺達が争うのを見たくないのだろうな」
僕は灯台を背景にして、瞬きを繰り返してから言った。
「だから成美ちゃんは俺に助太刀したのか…」
田村が黒い海を背景にしながら首を軽く振り答えた。
「いや、成美ちゃんの村瀬に対する愛は、村瀬が破壊したものを片っ端から修復する事ならば、お前を助けるのは成美ちゃんに取っては必然なる行いだと俺は思うのだ」
「俺に対する友情からじゃないのか?」
田村が大木がへし折れるのと同時に修復する光景を背景にしてから言った。
「いや、それも村瀬に対する愛からだと俺は思う」




