望郷星208
「無の永遠遡航が一元論的位相を作り上げ、そこに相矛盾した二元論的位相を重複して孕んだ、第三の概念位相が多次元宇宙の最果てで出来上がったと推論すれば面白いではないか」と田村は言った。
僕は尋ねた。
「しかしこの推論をものすると一元論世界にも人間存在の哀愁を内包した慈愛は満ちており、それは喜びに対する悲しみのような二元論を一元論が矛盾して孕む帰結となるではないか。それはどう思う」
田村が謎めいた笑みを頬に湛え言った。
「無の永遠遡航が一元論的位相を作り上げ、そこに相矛盾した二元論的位相を重複して孕んだ、第三の概念位相が多次元宇宙の最果てで出来上がったと推論すれば面白いではないか」
その推論を受けて僕は真顔で言った。
「それがこの世界か?」
田村が答える。
「そうだ。その醸成結果がこのカオスの坩堝と言う事だ」
僕は苦虫をかみつぶす顔付きをした後言った。
「ユートピアが同時にカオスの坩堝なのか?」
田村が面白がり一笑してから言った。
「多次元宇宙は重層構造で在るが無い分、その不可知不可分な分何でもありではないか。だからこそ陰陽の陰は陽の如し、又逆も真なりと言う帰結を迎えるわけだ」
僕は眉をひそめ言った。
「おい、面白がる場面ではあるまい?」
田村が笑い言った。
「冗漫になろうが何だろうが、とにかく思いを達成出来る至上の帰結に至れば、それで良いではないか」




