望郷星204
「いや、重複複合的多次元同時多発的宇宙では無を支えるであろう在ると言う概念の他に、不可知な謎の概念などが重複複合的に在るが無いままに存在すると推論すれば面白いではないか。それが俺達陽神の存在理由かもしれないではないか」と田村が可能性推論を面白がり言った。
僕は固唾を飲み尋ねた。
「無の崩壊とはどんな現象なのだ、田村?」
田村が面映ゆい顔付きをした後おもむろに答えた。
「無の崩壊とは全うき概念認識をする大前提としての自他、及び自我の崩壊を前提としての世界の構成だと思う。無と言う概念を認識出来ない事が自他及び自我の崩壊ならば、そこには無と言う存在すら無に非ずで、存在そのものが消失し、無の消失の永遠遡航が連綿と続いている世界だと思う」
僕は息を吐き出してから言った。
「無の永遠遡航など認識外だからな、認識外は自他及び自我の崩壊に繋がる事は間違い事象だと俺も思う」
田村が無機質な口調で言った。
「推論をものするには無の永遠遡航の先に何が在るかを類推すれば、それは可能性論としては無限大となり面白いと思う」
僕は言った。
「無の永遠遡航は無の永遠遡航しか生まないだろう」
田村が言った。
「いや、重複複合的多次元同時多発的宇宙では無を支えるであろう在ると言う概念の他に、不可知な謎の概念などが重複複合的に在るが無いままに存在すると推論すれば面白いではないか。それが俺達陽神の存在理由かもしれないではないか」




