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望郷星201
「でもそれでは村瀬の言葉通り、俺は母さんを何度も殺してはその記憶をなくしているのか、田村?」と僕はうろたえ田村に言った。
施術後田村が僕に言った。
「お前の気が電車の音になって、お前の母さんの首を切断したのを覚えているか?」
僕は不安のままに首を振り答えた。
「いや、覚えてはいない」
田村が一声唸り言った。
「そうか。それじゃ、あの世界は俺が瞑想状態になって見ただけの世界なのか、さもなければお前が母さんの首を切断した直後記憶が失せたかだな…」
僕は尋ねた。
「村瀬の仕業か?」
田村が首を振り答えた。
「いや、あの世界に俺が勝手に移動したのか、村瀬の仕業なのかは分からない」
僕は再度尋ねた。
「その世界は夢うつつではなく、実際問題存在するものなのか?」
田村が間を置き答えた。
「在るが無いと言う曖昧な世界だと思う」
僕はうろたえ動揺するままに尋ねた。
「でもそれでは村瀬の言葉通り、俺は母さんを何度も殺してはその記憶をなくしているのか、田村?」
田村が答えた。
「それは俺には理解不能だ」




