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望郷星197

「一般論として、潜在意識の部分に少しでも悪意があると、その悪意を無意識に患部に注入してしまう事はありませんかね?」と彼女が僕に質問して来た。

母さんが一人で病院に行っている最中、僕は彼女と喫茶店で落ち合い会話を交わす運びとなった。





当然祝い事である結婚話しを持ち出す雰囲気ではなく、専ら母さんに対する気功施術の事で話しは持ち切りとなり、そんな会話の中、彼女が自分の存念を切り出して来た。





「改めて尋ねますが、気功と言うのは患部に意識を集中する術ですよね?」





僕は少し訝った感じで頷き答えた。




「そうですね。意識をかけないとヒーリング効果はありませんから、意識をかける事は何よりも重要ですね」





彼女が瞬きを繰り返してから言った。




「これは私の邪推なのかもしれませんが、意識をかける時、潜在意識の部分に悪意があると、その悪意を無意識に患部に注入してしまう事はありませんかね?」





その言葉に僕は戦慄し愕然としたのだが、それを表情には出さず冷静さを装い言った。





「いや、貴女の前でも見せたのですが、気を注入する時は事前に良気が出ているかどうかを自分に手かざしして確かめてから、注入吐き出しをしますから、それは無いと思います」





彼女が首を傾げつつ言った。





「いや、私が言いたいのは自分に手かざしした時は良気でも、他者に手かざしした時、無意識に邪気を注入する場合もあるのではないかとと尋ねているのです。勿論この質問は貴方に当て嵌めて言っているのではなく、あくまでも一般論として尋ねているのですが」





秘め事を隠す為に僕は息を一度吐き出してから戦慄するままに答えた。




「潜在意識に例えば少しでも悪意じみたものが有れば、そんな状況に陥る事も稀にあるかもしれませんね」




彼女が頷き言った。





「そうですよね。意識と言うのは潜在意識、無意識にも繋がっていて始めて機能するものだから、それは理詰めに考えれば有りの話しですよね。ただ貴方に関しては相手がお母さんだし、それは無いと言えますが」




僕は固唾を飲みつつ頷き言った。





「そうですね。自分に関してはそれは絶対に無いと断言出来ますね」

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