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望郷星193

母さんの言葉を聞き、僕は己の脳裏に村瀬の言った偽善者と言う言葉が甦った。

母さんが一声笑い言った。





「あんた、そんなに形式にこだわって正義かんぶらなくてもいいんじゃないか。所詮男と女なのだし、やる事やって、その勢いで結婚決めちゃえばいいじゃないか。なんかあんた善人ぶっていて鼻持ちならないよ、母さん」





母さんの言葉を聞き、僕は己の脳裏に村瀬の言った偽善者と言う言葉が甦った。





そして思うに僕の忌み嫌う瞑想装置への道は悪魔性への回帰に他ならないと思う。





だからこそ僕は自身の中にある悪魔性を善幸を主体とした人間性として認めたくはないから、殊更に善人ぶって自己満足しているのかもしれない。





そんな内なる秘め事を母さんの言葉に依って惹起され思った刹那、無意識の部位から突き上げて来るように村瀬の言葉が聞こえて来た。





「そうだ。お前は偽善者なのだ。人間の善悪など所詮表裏一体。それをお前自身無意識に認めたからこそ、お前はお前の母さんを殺そうと企てているではないか。違うのか?」





僕は思わず叫んだ。




「止めろ!」





僕にしか聞こえていない村瀬の言葉は当然母さんには届いてはおらず、母さんが反射的に驚き尋ねて来た。




「何、どうしたの、あんた?」





僕はかぶりを振り、母さんに向かって弁解した。





「いや、何でもないんだ、母さん御免驚かせちゃって」

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