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望郷星186

「今のお前達など殺す価値もないわ。同士討ちして宇宙の塵埃に帰せばいいさ」と忽然と姿を現した村瀬が嘲笑いながら言った。

遠くから聞こえる成美ちゃんもどきの悲鳴に連動して忽然と黒ずくめの服を着た村瀬が姿を現した。





僕と田村は戦闘態勢を取るどころではなく、既によぼよぼの老人よろしく瀕死の状態であり、ただお互いに杖をつきながら眼をぎらつかせて、村瀬を睨みつけているだけであるのを村瀬が面白がるように見て、腹を抱えて嘲笑った。




それに負けじと小刻みに震える田村が力を振り絞り、裂帛の気合いを込めて怒鳴った。




「む、村瀬、俺達を殺すならばぐずぐずせずに早く殺せ!」




遠くで聞こえていた成美ちゃんもどきの悲鳴が聞こえなくなるのと同時に、村瀬の身体が少しずつ透けて行き、その実体感が失せて行きながら言った。




「今のお前達など殺す価値もないわ。同士討ちして宇宙の塵埃に帰せばいいさ」





その言葉を告げた直後、村瀬の身体が完全に背景に溶け込み、掻き消えたのと同時に田村が頭を抱えて、のけ反るように倒れ込み、血へどを吐いて、のたうちまわった後動きを止め、高鼾をかきはじめた。





僕は「た、田村」と言い、杖を捨てて田村に近寄り、うずくまって抱き起こすべく両手を差し出した瞬間、天と地がひっくり返り、そのままもんどり打って転倒し、全身痙攣しながら悶絶してしまい意識が失せて行った。

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