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望郷星183

「村瀬は俺を次元転位させて、俺になりすまし、母さんを殺そうとしているのだぞ。それに加えて俺達はこの迷路で衰弱して死に、村瀬に心を乗っとられて生き返り、同士討ちを行って絶対死を迎えようとしているのだぞ。これが落ち着いてなんかいられるか。ふざけるなよ!」と僕は村瀬から逆戻りした田村に向かって喚いた。

僕が「ふざけるな!」と絶叫を上げた途端、田村たる村瀬は田村に逆戻りし、何食わぬ顔付きをして言った。





「どうしたのだ?」




僕が呆気に取られた後、息を吐き出し、気を取り直して、最前起きた事柄を口早に説明すると、田村は束の間考える間を置いてから言った。




「それは村瀬が次元を跨いで、複数としての単数人格で俺の人格を一時的に乗っとったに違いないだろうが、お前が母さんを殺そうとしているという話しは明らかに捏造出鱈目であり、お前を騙して混乱させる罠だと思う」





この言葉を聞いて僕は今目の前で話しをしているのが田村である事を再確認信用したが、真逆に不安がもたげて来て、それを口に出した。



「だが田村、村瀬は言わばお前の思念に憑依してお前を一時的にせよ制御したのだから、それはそのまま俺の人格を乗っとる事も出来る証、証明であり、俺がこうしている間にも村瀬は母さんに気功で邪気を注入し殺す事が出来る証左ではないか、田村?」




衰弱している田村が眉をひそめ答える。





「落ち着け、騒ぎ立ててもどうにもならない状況なのだから、落ち着いて状況を正確的確に把握するしかないではないか?」




僕はかぶりを激しく振り喚いた。





「これが落ち着いてなんかいられるか、村瀬は俺達の思念をコントロールして、俺達の記憶に欠如分を作っているに違いなく、その欠如分で、村瀬は俺を次元転位させて、俺になりすまし、母さんを殺そうとしているのだぞ。それに加えて俺達はこの迷路で衰弱して死に、村瀬に心を乗っとられて生き返り、同士討ちを行って絶対死を迎えようとしているのだぞ。これが落ち着いてなんかいられるか。ふざけるなよ!」





田村が辛そうに顔をしかめてから答えた。





「落ち着け、落ち着くのだ。とにかく今はこの迷路を何とか脱出する突破口を見出だすしかないではないか?」

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