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望郷星182

「お前は成美を口説き落とし、その結果母親が邪魔になり、財産目当てで母親をその毒牙にかけ殺そうとしているのだ」と田村としての村瀬は言った。

突然田村が白目を剥き高笑いしてから村瀬の声で話し出した。






「いいか、よく聞けよ、偽善者め。お前は自分の母親を助けるつもりだろうが、実を言うとお前自身が殺そうとしているのだ」




僕は驚愕し言った。





「た、田村、お前は何を言っているのだ?」





村瀬としての田村が哄笑し答える。





「俺は村瀬としての田村なのだ。確かにお前達が言っている推論は的を射ていて、単数は複数である宇宙は存在し、然るに俺は村瀬としてのお前の知己田村であり、その固体を跨いでここに存在しているわけだ。だからこそその真理に則り敢えて言えば、お前は俺たる村瀬としての田村に教わる必要があるのだ。お前が偽善者であり、母親を殺そうとしている事実をな」





僕は息苦しさを堪えて喚いた。





「ふざけるな。俺は母さんを愛している。それが何故母さんを殺そうとしているのだ!」





田村としての村瀬がせせら笑い答えた。





「お前は成美を口説き落とし、その結果母親が邪魔になり、財産目当てで母親をその毒牙にかけ殺そうとしているのだ」





僕は気力を振り絞り反駁した。





「話しのつじつまが合っていないではないか。それならばお前は何故俺が成美ちゃんとしての彼女を口説くのを妨害したのだ、村瀬!」




田村としての村瀬が平然とした口調で答えた。





「そんな簡単な事柄をお前は質問するのか。ならば答えてやる。成美は俺の女だからさ」

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