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望郷星179

「いやそれでは村瀬が愉しめないからな。死んだとしても別次元で分身が蘇生する人間存在の一過性の死しか訪れず、まだ当面絶対死は無いだろう」と田村は言った。

迷路は一度として同じ道筋を示唆せず、それに比例して僕達の身体の細胞劣化は進み、田村が胡座をかき座り込んでから言った。




「駄目だ。目印になる灯台も見えないし、ここで再度休もう」




僕達はまるで老人のように少し歩いては休みを暫時繰り返している。





僕も身を投げ出すように仰向けに横たわり、どんよりと曇った空を見上げながらそぞろ言った。





「俺達はここで衰弱死するのか?」




田村が言った。





「いやそれでは村瀬が愉しめないからな。死んだとしても別次元で分身が蘇生する人間存在の一過性の死しか訪れず、まだ当面絶対死は無いだろう」




僕は忌ま忌ましげに言い放った。





「村瀬め何処まで卑劣なる奴なのだ。何故俺達をこんなに苦しめるのだ」




田村が息を弾ませながら答える。





「それだけあいつの人間社会に対する怨嗟が強いし、それにも増して親子愛に対する逆恨みとしての憎悪と怨みが強い証拠だろう」





僕は苛立ち言った。





「母さんの事が心配だ。何とか母さんの所に戻る方法は無いのか、田村?」




田村が後頭部を押さえ摩りながら言った。





「とにかく歩いて、有るかどうかも定かではないが、ビー玉を探すしかあるまい。突破口はそれしか無いだろう」

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