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望郷星162

その悩みを隠す術もなく、僕は彼女と落ち合い母さんを失うかもしれないであろう痛みを打ち明けた。

永遠の愛など無いのだ。





カオスの坩堝たるこの流れる時空間の二元論世界、三次元空間では望むべくもないわけだ。




そんな事は分かり切った事実なのに、母さんを失う事への喪失感に僕は途方に暮れ、ひたすら悲しみに暮れてしまう。




至上なる慈愛を喪失する悲しみは計り知れない程に深い。





複数としての単数概念に照らし合わせても、今現在ここに存在する僕の母さんは、ただ一人であり、大宇宙にあまねく分散しているであろう母さんも、複数としての単数であり、畢竟ただ一人しかいないのだ。





死は永久の離別感を僕に否応なしに感じさせ、悲しみは尽きる事が無い。







その悩みを隠す術もなく、僕は彼女と落ち合い母さんを失うかもしれないであろう痛みを打ち明けた。





僕の気持ちが乗り移ったかのように彼女も一緒になって途方に暮れ悲しみに暮れながら、言った。





「貴方が出来る限りの事をして上げるのが、真の親孝行だと私は思います」




僕は涙ぐんだその涙を手の甲で拭い言った。




「そうですよね。僕の命を投げ打ってでも助けるのが真の愛ですよね」




喫茶店の中、コーヒーカップの中身に瞼を伏せ視線を落としながら彼女が答えた。





「私もそう思います。お金とかではなく、貴方自身が出来うる事を全力で為すのが真の親孝行ならば、私も及ばずながら助力しますので、頑張って下さい」




僕は自分を奮い立たせるように唇を固く結び武者震いを一つしてから頷き答えた。





「分かりました。やってみます」

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