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望郷星140

「俺はれっきとした人間の姿をしているのに、矛盾して不完全な瞑想装置もどきとなり、宇宙を無に帰す為にのみ存在しているのか?」と僕は彼女としての村瀬に尋ねた。

僕は彼女に謝った。





「すいません。今日は酒のせいでつい上の空になってしまうのです。本当に申し訳ありません」




彼女が白目を剥いて村瀬の声で答えた。




「それはお前がワームホールの内部で成美を食らい込んでいる証なのさ」




僕は切り込むように言った。





「村瀬、上の空状態が本来の俺の存在理由だとお前は言うのか?」




彼女を乗っ取り、彼女に成り切り村瀬がどす黒くほくそ笑み言った。




「そうさ。幻想傀儡の実在感覚はワームホール内部で無の無色透明な波に打たれて、痛みさえも感じ取り、それはそのままカオスの坩堝と化して原子破壊を繰り返し、無の果てしない連鎖を作り出しているのが、今のお前の状態なのだ」





僕は顔をしかめ彼女としての村瀬に話しかけた。





「無の果てしない連鎖の放出が俺の生存実在の証明だとお前は言いたいのか?」




村瀬が答える。





「そうだ。それこそが放出されたカオスの坩堝の無化としての存在理由であり、お前自身の実存的存在意義なのだ」





「俺はれっきとした人間の姿をしているのに、矛盾して不完全な瞑想装置もどきとなり、宇宙を無に帰す為にのみ存在しているのか?」





村瀬が彼女となりどす黒い笑みを湛えて答えた。





「その通りだ」

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