望郷星14
「神という存在そのものが子供ならば悪戯するのは自明の理だろう、違うか?」と田村は言った。
動揺しているのを隠さずに僕は尋ねる。
「村瀬は俺達を囚われの身にして、いたぶり楽しんでいると言うのか?」
田村が再度自己憐憫する冷笑を頬に浮かべてから答える。
「そうだ。瞑想装置たる村瀬の力を以ってすれば俺達に絶対死をもたらすのなんか赤子の首を捻るよりも簡単な話しではないか、違うか?」
僕は全身がわななき震えるのを何とか抑えてから言った。
「いたぶって楽しむ事が村瀬にとって何の得があると言うのだ?」
冷徹に田村が言い切る。
「己の力の誇示さ」
僕は虚勢を張るように一度せせら笑い言った。
「それじゃまるで子供の悪ふざけと言うか悪戯ではないか?」
田村が冷徹な面持ちを崩さずに言った。
「神という存在そのものが子供ならば悪戯するのは自明の理だろう、違うか?」
僕は深呼吸してから言った。
「俺達はどうすればこの囚われの身から脱出出来るのだ?」
田村がしばしの間を置いてから他人事のように答える。
「暫くは自虐的にこちらも、いたぶられるのを楽しみながら突破口を見出だすしかあるまいな」
恐怖の余り僕はわめき立てる。
「お前は狂っている。いたぶられるのを楽しむ事なんか俺には出来ない!」
田村が再度冷笑してから言った。
「しかしそれ以外俺達に何が出来ると言うのだ?」