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望郷星138

「今在るがままの実存としての目の前にいる彼女を、俺は信じ、幸せにして見せる!」と僕は喚いた。

僕は再度念を押し喚いた。





「俺がいる場所は本当は暗黒の宇宙空間で、そこで愛を交換しているつもりの作業が実は悪を成し、建設的行いが破壊へと結び付いているならば、今俺の目の前にあるこの彼女との慈愛の交換たる光景は何なのだ、村瀬?」




村瀬が答える。




「在るが無いと言う存在論は表裏一体の理と言えよう。在るが無いと言う現象はそのまま表裏一体であると同時にそうでは非ずと言うニュアンスを含む事を踏まえ、それならばお前が善を為し畢竟悪に転じるのはカオスの坩堝たる二元論的空間では至極当然であり、本当はその裏側の空間に実在しているのに、表側にいると錯覚幻想を起こすのもこれ又哲学的思弁の唯々と呼べるならば、当然の慣わしではないか。違うのか?」





僕はまどろっこしくなって来たのですかさず催促した。





「もっと具体的に言え。俺はこの未亡人を幸せにするつもりが実は不幸にしようとしているのか。どうなのだ、村瀬?」





村瀬が答えた。





「建設としての破壊の先が不幸と言うロゴスで括られているならば不幸であるに違いないだろう。そんな理も分からないのか。お前は。愚か者め」





僕は声を限りに喚いた。




「今在るがままの実存としての目の前にいる彼女を、俺は信じ、幸せにして見せる!」

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