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望郷星127

そして成美ちゃんは村瀬たる破壊神に徹底的に破壊されても、ただ傍に寄り添えれば良いと言い、村瀬の破壊に身を晒している。それが成美ちゃんの愛だと僕は思った。

破壊の内側にこそ更なる建設がある。





破壊としての建設を期して瞑想装置たる村瀬は多次元宇宙を徹頭徹尾破壊しているに違いない。




哲学的思弁を由として破壊を愛と呼べるのならば。




瞑想装置たる村瀬の愛とは憎悪と怨嗟と殺意しかない破壊なのだ。




そして成美ちゃんはその破壊神に徹底的に破壊されても、ただ傍に寄り添えれば良いと言い、村瀬の破壊に身を晒している。





それが成美ちゃんの愛だ。





しかも成美ちゃんの恋心は破壊の内側にある再生を何度も繰り返し、破壊されてもけして滅びる事を知らない。




成美ちゃんの恋心は村瀬の破壊に晒されながらも、あまねく多次元宇宙の中に複合的に分離分散し、同時多発的にその恋心を享受して喜びに満ち溢れているに違いない。





そして僕の目の前にいる彼女が成美ちゃんの化身ならば、不完全な瞑想装置の僕と同じく不完全な欠如分、記憶の空洞を持っているのも鋭意推察は出来、その結果自分が成美ちゃんである事に気がついてはいない。





しかしその片鱗はそこはかとなくある。





彼女は僕を瞑想装置もどきの同類項として、その匂いをエキセントリックと言う言葉でキャッチしており、それが彼女の尽きる事の無い好奇心へと結びついているからだ。




彼女が言った。





「貴方のそのエキセントリックでエスニックな魅力は、脆弱なる人間の内に秘めた強靭さと言うか、その落差が見せているのかもしれませんね」




僕は尋ねた。





「それは僕が弱そうだけれども、その脆弱な落差が落ち切ったところで強さに変わると言う事ですか?」





彼女が答えた。





「いえ、弱い強いは関係なく、私はその落差が滲んでいるのが面白くエキセントリックでエスニックだと言っているのですよ」

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