望郷星121
「俺達は不完全な瞑想装置もどきであり、だからこそ多次元宇宙に分離分散した己の分身達を統轄コントロールは出来てはいない。だから単一体としてしか意識を保てない俺達は忘却してしまう欠如分が出来るのは至極当然であり、その複数としての単数感覚を完成していない点を村瀬は巧みに突いてお前を威したのが真相だと思う」と田村は言った。
瞑想思弁をものしつつ田村が言った。
「お前が見たのは村瀬が作った虚像としての光景だと思う」
僕は丹田に少しずつ陽気を溜めながら尋ねた。
「それでは俺は成美ちゃんを絶対死に追い込む真似はしていないと言うのだな?」
胸のチャクラに意識を落として鋭意回転を変換しつつ田村が答える。
「俺達は不完全な瞑想装置もどきであり、だからこそ多次元宇宙に分離分散した己の分身達を統轄コントロールは出来てはいない。だから単一体としてしか意識を保てない俺達は忘却してしまう欠如分が出来るのは至極当然であり、その複数としての単数感覚を完成していない点を村瀬は巧みに突いて、お前を威したと言うのが真相だと思う」
僕は頷き再度尋ねた。
「ならばもしかすると、俺が見たのは村瀬自身の見たワームホールのイメージそのままを俺に投影して、自他を入れ替えて見せ、威したと言う事か?」
田村が恭しく相槌を打ち言った。
「そうだ。俺達は稚拙で不可分で不完全なる存在だから何が実像で何が虚像なのか区別すらつかない無明状態にあり、己が立っている立地点すら正確に読めない存在である事を胆に銘じた方が俺は無難だと思うのだ」
僕は尋ねた。
「田村、村瀬はお前に攻撃を仕掛けてはいないのか?」
田村が瞼を半分閉ざしてから言った。
「今のところは何も無い状態だ」




