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望郷星120

そして別次元の宇宙に入り、白い平面としての広いが同時に狭い空間を、矮小だが同時に巨大なる点として漂いながら、僕としての憎悪に満ちたどす黒いワームホールの牙は、空腹と爛れたエロスの欠如分を満たすべく恋敵たる成美ちゃんの白い悲鳴を聞き付けた。

不意に僕の思念がジャンプして点に核融合するように縮まり、暗黒の宇宙空間の海を漂う凶暴無比なワームホールのどす黒い牙となった。





点として矮小なワームホールは同時に巨大なる悪意に満ちた質量を持っていて、その巨大なる質量がそのまま僕のどす黒い、憎悪と怨嗟と殺意しかない思念の牙となって、怨みを晴らすべく成美ちゃんを狙って音もなく漂っている。





果てしない憎悪と怨嗟と殺意しか有しないどす黒いワームホールの僕の心は逆恨みの怒りに燃えたぎり、僕を棄てた成美ちゃんの姿を探し求めてさ迷い漂っている。





その巨大なる質量が邪魔をして次元の壁をかい潜るのは無理な筈なのに、巨大なる質量を矮小な姿に縮小し質量0の矮小変換透明物体として簡単にすり抜けて行く。





そして別次元の宇宙に入り、白い平面としての広いが同時に狭い空間を、矮小だが同時に巨大なる点として漂いながら、僕としての憎悪に満ちたどす黒いワームホールの牙は、空腹と爛れたエロスの欠如分を満たすべく恋敵たる成美ちゃんの白い悲鳴を聞き付けた。





そして僕の憎悪と悪意に満ちた牙はその白い悲鳴を村瀬に対する恋心の光りと為して、次々とその光りを捩曲げ、噛み切り、どす黒い闇に変換して飲み込み、貪婪なる質量に満ちたカオスの坩堝たる腹へと収め吸い込んで行く。





そして僕はその悪意を点に凝縮縮小したワームホールの牙の威力に酔いしれ、喜悦に音なき声で高笑いしたところで、彼女に再度肩を揺すられ瞼を開き眼を覚ました。





彼女が言った。





「大丈夫?」





僕は不安と憔悴感に小刻みにに震えながら答えた。





「すいません、大丈夫です」

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