望郷星119
僕はここで彼女が成美ちゃんの化身として仮定して、村瀬から僕が成美ちゃんを略奪する事が成美ちゃんの本心ならば、この見合いを何が何でも成功に導き。丸ごと略奪してやろうと念じ、話しを続けた。
とにかく彼女が成美ちゃんならば、言葉の端々にどんなメッセージが有るのかを探り出し、後は見合いを成功裏に導き、母さんの意向に沿う事だけを僕は念じた。
そんな僕の思惑を無視するように彼女が改めて切り込んで来た。
「男の友情は相手の意向に沿って迎合する優しさだけが友情ではないと思うのですよ。相手が間違っていたら殴り合いの喧嘩でもして相手を糾し、説得するのが真の男の友情の姿だと私は思いますが、どうでしょうか?」
僕は眉をひそめ反論した。
「でも人の恋路は各個人の心の問題だし、力付くで解決左右する事なんてそう簡単には出来ませんよね」
彼女が畳み掛けて来る。
「だったら成美ちゃんを説得して何とか村瀬さんを諦めさせ、そこで貴方に振り向かせる手も当然ありましたよね?」
僕は首を小刻みに振り答えた。
「いや、恋は盲目で相手が逃げれば追うと言う習性が、言わば人の性ではありませんか。諦めろと強く説得すればする程に逆効果ではありませんか」
彼女が強く主張する。
「そこで貴方が引かずに何が何でも押せば略奪出来たのですよ」
僕はここで彼女が成美ちゃんの化身として仮定して、村瀬から僕が成美ちゃんを略奪する事が成美ちゃんの本心ならば、この見合いを何が何でも成功に導き。丸ごと略奪してやろうと念じ、話しを続けた。
「だから僕は二度と失敗するてつを踏まず、貴女の心を略奪してやろうと決心したのですよ」
彼女がせせら笑い答えた。
「代用品としてね。でも私は私であり、あくまでも成美ちゃんと言う女性ではありませんから」




