望郷星102
「そうですね。だから僕にとっては貴女は越えなければならない大きな山なのですよ。これを越えなければ僕は本当の意味で駄目男になってしまいますから」と僕は言った。
僕は言った。
「だから僕はその好奇心を略奪して何が何でも恋心に変えたいのですよ」
再度彼女がせせら笑い言った。
「それは私が成美ちゃんという人の代用品として機能させたいからに他なりませんよね?」
僕は彼女の言葉の意味合いを吟味してから言った。
「それは認めざるを得ませんね。確かに僕は獲得出来なかった成美ちゃんの代用品として、貴女を考えている事は間違いない事実ですから」
彼女が反論した。
「でも私は貴方にとって器が大き過ぎる代用品ならば、貴方の許容範囲を越えているではありませんか?」
僕はグラス半分のサワーをあおり言った。
「だからこそ略奪する挑み甲斐があるのですよ」
彼女が横目で僕を見遣り言った。
「それは成美ちゃんという女性を諦めた反動ですか?」
「そうですね。それも認めざるを得ないと思います」
彼女が閃いたという顔付きをしてから言った。
「成美ちゃんという人も貴方にとっては許容範囲外だったのですか?」
僕は恭しく頷き答えた。
「そうですね。だから僕にとっては貴女は越えなければならない大きな山なのですよ。これを越えなければ僕は本当の意味で駄目男になってしまいますから」




