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望郷星101
「好奇心からです」と彼女はしたたかに言った。
僕は強張った顔をして言った。
「覚悟の程は当然出来ていますよ」
したたかな笑みを浮かべて彼女が言った。
「私は成美ちゃんと言う女性の代わりにはならないし、面倒この上無い女ですよ。それでも覚悟の程はありますか?」
引くに引けない状況なので僕は気迫を込めて答えた。
「大丈夫です」
彼女がここでせせら笑い面白がるように言葉を翻した。
「私はどうあっても代用品としての器に収まらないので、覚悟の程はありませんね。残念ながら」
僕は泣き笑いの表情を浮かべてから言った。
「ちょっと待って下さい。それじゃ貴女は何の為にお見合いをしたのですか?」
彼女が悪女丸出しの顔付きをしてから微笑み言った。
「好奇心からです」




