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一瞬、永遠。  作者: ゆある
6/6

変わらない 5

「…え」


目元に伸ばした手が捕えられた


「優しくしてあげるよ?」



じりじりと壁に追いつめられる


視界いっぱいに見えるのは…


職員室で会った先輩だ。




あの時は、王子様みたいな本当に優しげな笑みを浮かべていたのに、ずいぶんと印象が違う


例えるなら、暴君のような……あれ、どっちみち王様ってこと?



ただ、こっちのほうが人間らしい



なんて、頭の中で悠長に考えていると、肩が壁にぶつかって、もう、一歩もさがれないことを知る



「先輩……」



「残念。時間切れだ」


耳元でそう聞こえると、図ったようにドアが開いた。


入ってきたのは写真部の資料を持った月島先生だ



先輩はというと、何事もなかったかのように澄ました顔で写真整理に勤しんでいる。


「やっと部室に来てくれたんだね。…水野さん?顔、どうしたの?すごく赤いよ」



どうって…


頭に巡るのはたった今まで近くにあった顔……




覗き込んでくる月島先生の顔が、先輩のそれに重なって余計に熱が上がる


「運動不足ですよ、水野は」



困り果てた私で遊び飽きたのか、先輩は助け舟を出してくれた



だけど、そんな理由って……


「3階分を駆け上がったらこのざまですよ」




反論しようにも、その他の理由が思いつかない


しかも、体力がないのは本当のことだし




「若いうちからそんなんじゃ、大変だよ?」



月島先生は憐れなものを見るような目をこちらを見てきた。



ブフォッという音とともに、肩を震わす先輩が視界の片隅に映ったが、私は無視を決め込んだ。




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