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―地球転星― 神の創りし新世界より  作者: 挫刹
第三章 「新世界の扉」(最終章)
64/82

62.もう言葉は必要ない


 警告!!


・このお話の回には「性的な犯罪表現」を帯びた文章が、

 『性表現の直接的な描写』ではなくッ!

 『登場人物たちの発言』という形の描写方法によって存在していますッ!

 その様な発言や文章表現が少しでも苦手な方は、このお話を読まれることはお控えください。


※この今回の文章表現は全て「小説家になろう」運営さまのR規制ガイドライン(当話投稿日付けまでの)に沿って、現在のキーワード該当作の内容に相応しくあるように、著者なりに構成させて表現、描写しています。

 

が、

それでも、なお「性的な文章表現による犯罪描写」に少しでも抵抗のある方は、読まれることは絶対にお控えください。







 地上から遥かに高い上空で、

 ぶつかり合う空気と振動が世界に伝播していく中心を、

 誰もが注目する中、


「貴様!

貴様っ、一体何をしたッ?」


 獰猛と威圧で迫る土気色の巨躯が、

 鬣を猛々しく奮い、力を込めて咆えかかる。


 力を込められた先として殺意をもって狂気を向けてくる得物は「手斧」だった。

 柄が極端に短い、

 手投げ斧(トマホーク)のような銀と金の装飾をあしらった両刃の獅子斧。


 それを、

 剣で受け止めている中学二年生の男子少年に目掛けて、

 獅子の獣人は、怒りに任せて渾身の躰重たいじゅうをかけながら押し込んでいる。


「何をしたッ?

貴様、いったい何をしたァッ!?

答えろッ!

貴様は双鼠座ジェミニに何をしたのだッ?」


 さらに押し込んでくる獅子の手斧が、信じられない力で少年に迫るッ。


 だが、少年は少年で、

 自分の思考回路で一杯だった。


 吐き気がせり上がる塊として込み上げてくる食道みぞおちの感覚を感じ取って、

 昇は堪らず、斧を「剣」で振り払ったッ。


 振り払った途端、

 斧を持った獅子が、


 あれほどの人智を越えた力量で斧の威力を向けていた獣人の獅子が、

 斬撃の威力に弾かれて後ろに飛び退がる。


「キ、貴様ァ……ッ」


 獅子が牙と咆哮を剥き出しにして昇を威嚇する。


 それでも昇は空中に居ながら、視線を遥かな地面へと落としていた。

 「剣」を携えたままの腕で、

 二の腕と腕の甲の間の肘の裏に鼻と顔ごと埋めて、

 込み上げてくる吐き気(・・・)と闘っている。


 昇は……、

 獅子に近づくことが出来なかった。

 近づくことができずに……、

 鼻を押さえて「イヤな臭い(・・・・・)」が侵入してくるのを抑えている。


(……この……(二オ)い……っ……)


 昇はこの臭いを知っている。

 そう思ったから、これ以上ないほどみする視線で獅子を睨んだ。


(……肉桂(・・)……だ……)


 独特な肉桂ニッキのあの臭いが、離れた獅子から強烈に漂ってきている……。

 まとわりつく、

 男という生き物が抱く、独りで立とうとする必死の独立心を生殺しのように打ち砕く、

 地元に縛ろうとする田舎の仏間で漂う香の薫りにも似たあの臭い。


 そう思った途端、唐突にまた吐き気が込み上げてきたッ。


「……ッゥっ……」


 腹の底からせり上がってくるコブシ大ほどのヘドロの悪球をなんとか抑えて、

 昇は、必死に獅子の様子を目で離そうとしないで……。


「……かあさん………っ」


 イヤな臭いで、思わず思い出して呟いた言葉が……自分の自立心を打ち砕いた。


 昇はさらに身を仰け反らす。


 この臭いは……ダメだ。

 この臭いはダメだった。

 この臭いは……「母」の臭いだ……っ。


 昇の嫌っていた、

 呪いで包む、

 あの(・・)甘ったれることを許し、

 あまつさえ子供にそれを更に要求してくる「母親の臭い」だった。

 昇の母親が……こよなく好きだと言っていた、あの肉桂ニッキの臭い……ッ。


 昇にとって……ニッキは「母の臭い」だった。

 しかも、

 ここで云う「母」とは、

 昇の実母のことではないっ!

 あのいつものように自分の子供である昇や他の兄弟たちの身をどこまでも案じ心配し、

 この世で嫌悪するほどの呪いのような愛で包み込んで向けてくれた実際の優しい母の顔ではなく……、

 純粋な命を育む『母』という存在、そのモノ(・・・・)の臭いだったッ。


 自分をこの世に産んだ、実の母ではない、

 もっと遠く……、

 それよりも、もっと原初で、

 最も深く古い太古の時間と位置と場所で存在し、

 子々孫々の幸を、愛玩的な呪いで祟る……、

 深淵の……「最初の母」という懐古の存在の……、


「……『匂い』……かッ?


……っく、ククク、

そうかッ、貴様ッ!

そう(・・)なのかッ?

そうなのだなッ?


そのリ・クァミスの服ッ!

青い色ッ!


貴様がそう(・・)なのかッ?


そうか!

キサマかァッ!

キサマがッ!

この我々が造った……ぁッ!」


 遺伝子傀儡パペット……。


「この匂い(・・)を憶えているのか?

……そうだな?


そうだッ!

この匂いこそが、キサマらの母のさらに奥にいる、婆母ははの匂いだッ!


懐かしいだろう?

眠るか?

この臭いの中で眠ってしまうかッ?

眠れるか?

この臭いの中には「父」はいないぞッ?


わかるだろう?

その胸の内から込み上げてくるっ、底知れぬ吐き気が何よりの証拠だ……ッ。


母だけだッ!

キサマらには母だけが包み込んでくれるッ!


だがッ!

キサマらが本当に欲しかった者は「父」の筈だッ!

そうだな?

そうだろうッ?


母の匂いはお前を堕落させるッ!

決して抜け出せない甘え(・・)という奈落の「穴」に突き落とすッッッ!!!!

キサマはこの世に持って生まれ生きていて!

母の溺愛してくる鬱陶しかった甘い手こそが煩わしかった筈だッッッ!!


キサマらは、あの強引だが確かな答えを与えてくれる「父の手」こそを求めていたのだからなッッッ!!!!

あの抜け出せない母の甘ったれた穴から!

手を掴みッ!

腕ごと引っ張り上げ!

外の世界へと引き抜いてくれる、力強い「父の力」こそをッッッ!!!」


 ……昇の……剣を握る力が強くなった……。


「……だが、そんなものはいない(・・・)ッ。

そうだッ!

貴様らには「父」こそがいないのだッ。


『父』は実は『男』でしかないのだからなぁ?

父に期待する『指導の力(リーダーシップ)』をッ!

欲にまみれたッ男のッ!身勝手な暴力に変わって受けてッ、成り果てるッ!!!

貴様たちの生きる『世界(・・)』はそうだったはずだッ!


絶望せよ……ッ。


そして死ね。

のたうち回って、ここで苦しんで死ぬのだッ。


貴様らは孤高理想の「父」という皮を被った「男」がくれる身勝手な拳からさえも庇ってくれぬ「母」の愛という腕でおぼれ死ぬッ!

甘い母を求めて、天い母の姿と面影を追って!

父を想い!

父を欲しっ!

父と慕っていた男の振り上げた不満の発散な拳によって死ぬのだッ!!


叫べよ命ぃッ?


叫んで死ねッ!

母という名を叫んで死ねろぁっ!っ!!


そうだろうッ?

貴様たちの死に際には、常に確実に甘く遠い「母ッ」を叫んでいたのであだろッ!


母!!と!どこまでも叫んで呼んで、魅憎く喚き散らして死んでいく(・・・・・)……ッ!!

どんな残虐な最期を強いられていてもなお、そうだったはずだッッ!


救いを求めて、愛しく恋しい甘い『愛母』に縋るッ!!!


だが、そのお前たちの縋る、か弱き母(・・・・)はなぁっ?


我々が!

男共としッ!

押し倒しッ!

暴きッ!

貴様ら、実童こどもの目の前で!

貴様らの、肌けた「母を侵していく(・・・・・・・)」のだとぁッ!!!!!」


 母の起源と侵略を叫ぶ獅子が、

 昇たちを生んだとする「人類の母」を自らの子種ことば孕み犯す(・・・・)ッ!


「貴様たちの『母親』は……ッ、

すでに別の子供を身籠っている……ッ!

お前たちではない、別の由来オトコ同類コドモをなァっ!


貴様たちは、その誕生を目の当たりにするだろうッ!


キサマの愛しい愛しい、優しき頃の甘き母オヤは……、

別の異雄オトコが与えてくる、嫌がる暴力で押さえつけっ!

下からメリ込んで押し込まれる!

貫く苦痛と快楽で泣き叫ぶ!

髪を振りッ!

発汗しっ!

それを最後にはしがみつき!

鳴いて悦び!

その一部始終を自分の子供に視られた現実から堕界しッ!

って終わった、その後でな!

涙を流して、

なをっ!!!

望んでもいない栄養を求めて膨らんでゆく腹を愛おしくさすって、気付いた予兆で戻す(・・)のだッ!!」


 太い両腕を構える様は、巨大な岩を持ち上げるようにして、

 無垢な子供に、大人の欲望たいざいをぶち撒けるッ!


「そして、その時のキサマの優しかった母が叫びで、新たな命で侵されるのはなッ?

キサマがやった(・・・)のだぞ?

オトコぉッ?

貴様らというその男の体こそが、貴様らの恋しかった母の雌の錠を壊すのだよッ!


犯されるのを視ッ!

観ていた『犯す』を、次は貴様が執行するッ!

きっと必ず、するだろうッ!

忘れていた思慕の女を思い出し、唐突に追いかけ探しッ!

襲うのだッ!

その女が別の惹かれた種の子童コドモを身籠った頃になぁッ!


そうやって繰り返すッ!


泣き叫ぶ放心する助けられない恋しいオンナの壊れた心はッ?、

貴様の憎み求めるははの姿だったのだとッ!」


 叫ぶ諸悪の言動が暴力となって、何も知らない無垢な心をズタズタにするッ!


 ……現実では、……こういう事が起こる。


 大人は時に、

 走り始めたばかりの時間しか知らない無知の子供に、

 世間で氾濫する理不尽な猛る自分の欲望ちしきを捌け口として向ける……。


 それは時と場所を選ばない。


 いつでも、

 どこでも、

 子供の目の前で、常に『現実の害意』を言葉と暴力とで晒して見せつけ、吐きつけて与えてくれる。


 そこから目を隠し、守ってくれる者など、どこにもいない……っ。


 だから少年は……、


 たとえ獅子から、

 この現実に潜んで隠れている真実の何を言われても、

 自分が持つ『剣』だけは、決して離すことは(・・・・・)しなかった(・・・・・)


「……なんだ?

その目はッ?」


 叫ぶ暴に酔っていた獅子が牙を剥いた。

 それでも昇は『剣』を握ったまま睨み返しているだけだった。


「その目はなんだと言っているッ!

キサマを生んだのは我々なのだぞッ!


我々が貴様等の、そのカラダをッ!!!」


 ……仕組んでいた……っ。


 その事実を前にしても、

 昇は自分の持っていた剣を前に構える。


 ―来い―


「キ、貴様ッ!」


 と獅子が叫んだとき。


 ヒュン、と、

 横やりから跳んできた鋭く細長い収束した〝集中線〟を、

 昇はヒラリと避けて、

 返す剣で難なく振り抜いて飛ばした斬る為の軌道を、

 彼方にまであるはずの距離の出所まで放つッ。


「なッ?」


 敵意の唐突が宿る一瞬の槍の投擲を躱して、

 反撃カウンターのつもりで入れた(・・・)斬撃が、

 容易く吸い込まれるようにスコンと、獲物に当たった(・・・・・・・)


 当てられた獲物は銃撃を受けた反動後、刺突で墜とされた飛鳥の如く、

 撃たれた反動をそのままに、力なく一直線に落下していく……。


「……サ、射馬座サジタリアスッッ!?」


 叫んだ獅子が、落ちていく影が地表に到達するのを前に、

 すかさず他へと「救命たすけ」を命じる。


 急遽、「救命」を命じられた別の影が、すぐに急降下すると、

 崩れ落ちていく影に追いつき両の腕で掬い取って舞い上がった。


「……ど、どうだッ?」


〝……同じ(・・)ですっ。

……双鼠座ジェミニと……っ〟


 また再び(・・・・)墜とされてしまった同胞の影の様子の案配を聞かされて、

 獅子はまた鬼の形相で、少年に振り向く……


「双鼠座に続いて……、

射馬座まで……っ!


キサマッ!何をやったのだッ!

吐けッ!

キサマッ!

我々に何をしている(・・・・・・)ッッッ?!!!」


 だが、

 どこまで獅子が叫んでみても……、


 昇はただ……剣の先を向けてくるだけだった。


「な、なんだそれはッ?」


 だが、

 昇はただ剣を向けるだけ……。


「答えろと言っているッ!

声を出せっ!

喋るのだッ!

言葉を吐けッ!

剣ではないッ!何をしたのかと聞いているッ!」


 それを聞くと、

 昇は盛大に、剣を向けながら……顔を顰めた……ッ!


(はァぁぁぁぁぁっぁぁっぁっぁっぁっぁっぁぁアぁぁ??!!!!!)


 そんな、

 どこまでも不可解に嫌味ったらしい顔を、獅子に向ける。


 さらに剣の切っ先と共に、それを突きつけるッッッ!!!!


「何だ?その顔は?

そして、なんだ?

その剣の向きは?

その剣が……答えなのか?」


 昇は頷く。


 ―戦え―

 

 そう言っていた……。


「なにぃ?なんだとッ?

我々は『話を聞いてくれ(・・・・・・・)』と言っているのだッ!


それをなぜ(・・)っ、剣でもって答えるのだッッ?!!!」


 なぜ(・・)


 ついに怒りに、火が……いた……。


 昇が、剣を握る力に憎しみと怒りを込めて、空中の中から一歩を踏み出すッ!


「ま、待てっ!

話を聞け(・・・・)ッ!」


 だが、昇は、獅子の話なども聞かずに更に一歩を踏みしめるッ。


止まれ(・・・)ッ!

なぜ(・・)だッ?

なぜ、話を聞かない(・・・・・・)ッ?」


 その言葉で、

 昇が剣に、さらに怒りを込める力が振るえ上がったッ。

 必ず許せない怒りが強制的に剣に押し込めて宿して溢れている。

 溢れて宿らせて炎として燃え盛り滾らせているっ!!


 昇はもう後戻りしなかった。


 そんな必要は、もはや無かった。

 なぜならそれが……。


〝待てっ〟


 突然、

 老爺の声が響いて、怒りに身を任せる昇の歩みが唐突に止まった。


 昇が見ると、

 周囲で表示されている光学線の一つの罫線上に『樹』(グリズ)という文字が瞬いて表示されている。


「……なにさ?」


 そこで始めて……、昇は口を開いた……。


〝……、!?

……『敵』は対話を求めている。

それになぜ応えないっ?〟


 そんな在り来たりな答えは、

 逆に昇の逆鱗に触れるだけだった。


「……なぜって……っ、

()だからでしょッ!!!」


 吐き捨てる言葉が、戦場を黙らせる。


〝……『敵』だから……会話はしないと?〟


「当たり前でしょッ!

もう会話をする段階は終わった(・・・・)ッ!

アンタらは対話それを、さっきまでやってたはずだッ!

で!そこで出した答えが、この結果(・・・・)になったんでしょッ?

『この決裂こたえ』で終わったんでしょッ?!!


だったら、

対話でこうなった(・・・・・)ならッ!

もう、こっから先は殺し合いしかないッ!

そうでしょッ!


アンタらいまッ!何やってんだ(・・・・・・)よッッッッ!!!!!??!!」


 叫んだ昇の言葉で、戦争が沈黙する(・・・・・・・)……。


「……戦争(・・)……やってんじゃねぇのかよ……っ?

これいまッ!

戦争やって(・・・・・)んじゃねぇのか(・・・・・・・)よッ!


戦争やってたら……、

もう会話なんてする必要……ない(・・)だろうがぁッッッっ……?!!!


あとはやるか、やられるかだけだ……っ!

そうでしょッ?


だったらもう……っ、言葉なんて必要ない(・・・・・・・・・)ッ!」


 言い切って、

 断言する昇が、問答無用の戦争を再開させるッ!


〝……ま、待て!

ならばなぜ?

我々の通信には答えたっ?〟


友軍フレンドだからでしょッッ!!?」


〝な、なにっ?〟


「ぼくは、あなたたちの友軍フレンドなんだから、交信ぐらいしますよッ!

ここはあなたたちの領土とちなんだからさッ!


そしていまッ!

ぼくがやっていることは『集団的自衛権』の行使だッ!

それをしているッ!

それだけだッ!


だから、ぼくはあなた方とは交信をしているッ!

連携を取(コミュニケーションす)るためにだッ!

当たり前でしょうッ!!!

それで文句ないでしょうッッッ?!!!」


 吐き捨てる昇が 友軍を侮辱する。


「……な、ならば……、

我らが貴殿に、対話を求めてくる敵に応答してくれと頼んだら……?」


「ッッアぁッッッ?!ぃッィッ、

チッぃッッッッ!!!!」


 盛大に……舌を打ったッッ!


 下らない戯言を宣う腰抜け(・・・)になった友軍に、

 敵にも向けている憤怒と同じ怒りを向けている……。


 その思いがけない反応が、通信の向こう側を怯ませ困惑させて、

 少年が抱く意味不明な怒りで当惑している空気を醸し出している……。


「……どうする?クベル(・・・)……ッ!」


 昇が……、

 昇のいる位置より更に高い高空で苦戦を強いられていた汚れた衣服の赤い少年に問いかける。


「の、昇……ッ?」

「どうする?クベル(・・・)

きみに任せる。

きみの判断なら聞こう。

きみの意見になら従うよ?

ぼくはきみの親友軍フレンドだからね?」


 自己の最も待ち望んで求めていた呼び名を、

 最も呼ばれたくない場で呼称されて、

 悪戦苦闘中であったクベルは対戦相手に注意を向けたまま、

 顔を俯けて昇に答える……。


「……敵に……答えてやってくれ……、

昇……っ」


 呟いた言葉に、

 今まで威力を向けてきた相立つ相手までが戦意を止めて立ち止まった挙動を、目にする。


 戦場が止まっている(・・・・・・・・・)


 それに気付いて驚き、

 クベルはなおも下の空にいる昇を見た時。


「……ッィ……チィッ、

……フヌケっ……が!」


 また更に下の空から聞こえた舌打ちでッ。

 とてつもない怒りが自分に向けられたものだと知った。

 昇はクベルに向けて「フヌケ」と言ったのだった。


「……琿无エクサム……ッ!」


 下の空で立っていた、

 昇が……、嫌々唱えて、


 もう一振りの剣(・・・・・・・)を出現させる……ッ。


 戦場が更に静まり返って静止する。


 たった一人の少年が、戦況をひっくり返す……。


 現われた剣は……すでに破った筈の『平和』の剣



 日本国憲法 第九条


 1.日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動た

   る戦争と、武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段とし

   ては、永久にこれを放棄する。


 2.前項の目的を達する為、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。

   国の交戦権は、これを認めない。




 少年は……、この(・・)『平和』を『軍事』に転用する……ッ!


 一度でも始まった戦争に……、


 ……もう、言葉は必要いらないから……。



















【奇報!!!】(※お好みの次回予告BGMを鑑賞しながらお読み下さい)




「はじめまして!

いつも『地球転星』を読んで頂いてありがとうございます!

主人公の咲川章子ですッ!」

「はじめまして、脇役の半野木昇です」

「本編の方はシリアス回ですが、ここからは違う雰囲気で突っ走りますッ!

今回はなんとッ!この物語の著者さんが、また新たな新作の『新連載』を開始するッ!ということで!

そのお知らせをする為に、このあとがきに突如、お邪魔しましたッ!」

「ぱーふーぱーふー」

「いい加減、こっちの更新遅いくせにまた新連載かよ?と思われたそこのあなたッ!

本当ですよねッ!わたしもいまはぷんぷんですッ!

ですからわたしたちも、その事について問い詰めたのですけど、なんと、それに返ってきた答えが……」

「……簡単な文章を頭カラッポで書き殴った小説を投稿したくなったから……、だそうです……」

「昇くん、座布団三枚、持っていきなさい」

「咲川さん、いつもとノリ違うよッ?」

「それはいいのッ!あっすみません……。

それで、……そういう言う訳なので、二月から新しい小説作品の新連載投稿が『地球転星』と同時進行で始まります。

その為に、読者様に宛てて、著者さんから言伝を預かってきました。

読み上げます。


『―地球転星― 神の創りし新世界より』を読まれている畏れ多い方々へ、

二月初旬に終わらせるという真の抱負は予定通り『挫折』いたしました……。最後に残った『今年度中に終了させる』という抱負にご期待ください(デン♪デンデデデン♪)


……だそうです。

感想に不満と苦情、書いていいですよ?わたしが許しますッ!」

「咲川さん恐いよ」

「昇くんも他人事じゃないでしょ?

それで、えっと、

あ、このまま、このあとがきを長くするのもなんですので、

ひとまず、その新連載作品についての簡単なご紹介をこれからさせて頂きたいと思います!


ジャンルは、ハイファンタジー。

タイトルは……「まだ秘密」……だそうです。


内容はなんか、モンスターをハンティングするゲームやドラゴンが出なくなってるのにいつまでもクエストするゲームやファイナルを何回やってるんだよ!なファンタジーのゲームや錆びた聖剣を抜く伝説みたいなゲームなどをいろいろごちゃまぜにしてモチーフにしたような物語になるそうですよ?

全然、期待もてないですね。

あと女の子のわたしが言うのもなんですけど、「あの利用規約違反をした作品」の一部もすこし取り入れているみたいです。いかがわしい……。

なんかもうすでに、違う方面で利用規約違反してそうな気もしますけど……。


そして、重要な公開対象年齢はやっぱり「全年齢」を対象としているようです!いい度胸してますよね?


最後にとっておきのお知らせが!

なんとこのお話!

『異世界転移』や『異世界転生』ではなく、純粋な現地の住民を主人公とした物語なのに、その作品世界の一般住人の人たちは、わたしたち地球の国の社会や経済、文明の事をよく知っているッ!って言うんですよッ?

またおかしな設定のお話をやってますね。運営の方たちもさぞかし大変でしょう。

利用規約違反、またしないといいですけど……。


更新間隔は、こっちの『地球転星』と違って、不定期ではなく『毎週日曜朝8時更新!』だそうです。

なんでそっちは定期的なんだか……。

初回は明日!2月1日の正午だそうです。


『地球転星』の次回更新は、挫折しなければ二月末日らしいですよ?最悪ですね。

ほんとにすみません。


では、紹介も長くなりましたがそちらの作品もこの『地球転星』ともども、長い目で御贔屓にして頂ければと思います!


それでは次回も……読んで下さいッ!」


「……読まないでください……(ボソ)」

「昇くんッ!!!」


\デン♪デンデデデン♪/



・なお今回の日本国憲法第9条の全文は全て、Wikipediaさまの文章より抜粋させていただきました。



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