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―地球転星― 神の創りし新世界より  作者: 挫刹
第三章 「新世界の扉」(最終章)
39/82

37.マグニチュード12


「とはいえ、

先には大袈裟にも、ああは言ってしまいましたが、


実際問題。

これはすでに、戦争にもならない(・・・・・・・・)


 睨み合う竜と少年。


 今にも始まろうかという、

 両者を見下ろせる高台の上から、

 目下で繰り広げられようとしている光景を見つめて、


 真理は言う。


「……その答えは簡単です。


マグニチュード3。

つまり、

M-3級の力を持ったまま闊歩しているだけの巨大生物と、

M-12級の力をいつでも発揮できるただの人間(・・・・・)とでは、


その実行できる出力規模が余りにも違い過ぎるからです。


戦争の定義とは、

この虚構の中では、すでに過去に、完全にハッキリとさせてしまいましたよね。


〝双方が双方の『捕食者』であり、『被捕食者』でもある状況〟

これを『戦争』と呼ぶのだ、と。


しかし、その定義に当てはめるなら……。


M-3級の生物と、

M-12級の人間とでは、


はたして、


〝双方が双方の捕食者〟……足り得るのでしょうかねェ?」


 嗤って伺いながら、

 真理は、我々(・・)を見て断言する。


「ムリです。


それはムリですよ。


ムリですよね?


たかがM-3級の地震と、


あのM-9級の超災害であったはずの「東日本大震災」ですら遥かに凌ぎ、

それのさらに約三万千五百倍の破壊力さえ発揮してしまう、

地球を真っ二つに出来る力、

M-12級の最終災害とが……、


同じ捕食者同士になれるわけがないでしょう?


その光景は、完全にあの(・・)「食物連鎖」の領域でさえ、簡単に飛び超える。


M-3級のあの竜が、威嚇でしか(・・・・・)抵抗できない(・・・・・・)喰われるだけの「草食動物」はおろか、

M-12級のあの少年でさえ、威嚇さえする必要のない、喰うだけの「肉食動物」それ以上の存在にしかならないのですよ。


その力の差は……、


単純計算で見積もっても、


31兆4千億倍……もの開きにはなるのですからね」


「さ……三十一兆……四千億?」


 途方もない数字を聞いて、

 放心するしかない章子を、真理は隣で流し見る。


「そうですよ?


あのM-3級の災害規模の塊であるドラゴンと、


あのM-12級の「ただの少年」とでは、


それだけの力の差が歴然としてあるのです。


そんな者同士が戦ったところで、

戦争になると思いますか?


なりませんよ。


なるわけがありません。


むしろそんな戦争の中で、みみっちくも起こる戦闘や虐殺にさえもなりはしない」


「え?」


「当然でしょう?


それだけの力の差があれば、

それはすでに虐殺にもならないし、

侵略にさえもなりえません。


さらには、

それよりも最も基本的で根本的な、

「捕食」や「屠殺」という食物連鎖にすら、なることがないッ!


なぜなら、

「彼」はすでに、


食事さえも(・・・・・)しなくていい(・・・・・・)』人間なのですからっ」


 言って、真理は睨んだまま見据える。


「では、

仮にそうだというのであれば、

この状況は、これより先ではどうなるのか?


……よく見ておくといいですよ?


()は、

あそこにいるだけで(・・・・・・・・・)


あの竜を下す……ッ!」


 真理の目に、強い意思の色が浮かんだ。




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