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今日、零時回って3回目の投稿。
短いですけど。
伯爵様がんばれ!
私は心の中でチャコール子爵と言い争うなんとか伯爵様を応援する。
私としたことが紹介されたにもかかわらず伯爵様の名前を覚えていない。
数字や数字と数字で頭がパンパン。
その後遺症。
先ほどのこと、部屋の外からその なんとか伯爵様がおいでになったからお茶出して と声がかかった。
私に仕事を押し付けて暇そうにしていた先輩方がいきなり仕事を始めてこっちを見た。
明らかに目でお前が行けと。
だから私は普通に伯爵様にお茶を出しただけ。
そしたらいきなり伯爵様が責任者出て来いとお叫びになった。
いつものことらしいけど。
「チャコール殿、あれは非常に礼儀正しい娘だ。ぜひ孫娘の教師に着けたい」
気難しそうなお爺さんだけど、どうやら私をこの紙切れ地獄から救い出しに来られた観音様か何かの化身らしい。
「それは困ります」
私は困りません。
「こんなところにいるよりもうちにいるほうがずっと彼女のためにいい環境だぞ」
そうだそうだ もっと言って。
「リアはこれでも一等書記官ですので伯爵様といえど家庭教師にこれ以上の待遇はいかがなものかと思いますが」
うっそだぁ、私って雑用係。
ブラック、ブラック!!
「う~む、あきらめるしかなかのぅ」
あきらめないで、あきらめないでと叫ぶ私の心の声を無視して伯爵様は帰っていかれた。
うぇ~ん。
おっと泣いている場合ではない。
聞かなくっちゃ。
「あのぅ、チャコール子爵さま? 先ほど私が一等などとおっしゃられていましたが……」
「部門長全員の推薦があってな。先ほど決まったよ」
「そぅなんですか⁉」
「一等書記官でないと他部門の書類まで扱えないからね」
チャコール子爵様が指さしたのは私のデスクに積み上げられている書類の山。
確かにおかしい、多すぎるって思ってたけど他部門のもあるわけ!
でも、でも……。
「待遇なんですが、お給料って上がるんですよね?」
「そりゃそうだよ、等級が上がるごとに1.2倍が規則だ」
私の場合何等級上がったんだろう、えっと1.2倍が…と複雑な計算を始めた私をチャコール様が止める。
「リアの場合飛び級で一級になったけど、上がった回数は1回きりだから明日から1.2倍だけだよ」
うっそー!
「伯爵家で負担できないほどの高給って……」
「一般的には一等になるのに何回も昇級するから高給になるが リアの場合貴族ではないからこれ以上ランクアップはありえないということで一生涯この給与は変わらないだろうね」
おにーっと叫ぶ私の心は声にならなかった。
昇格昇給、めでたく無しめでたく無し。
大抜擢されたけど誰にもうらやましがられたり、意地悪されたりしそうもなくない。
平穏無事、ありがたく無し、ありがたく無し。




