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カナリーが与えられた部屋に入りかぎを掛けようとしたときにテーブルの陰に潜んでいたトビーは行動を起こした。
まったくカナリーに気取らせずにその画気に移動し剣を突き上げる。
外傷を与えずに魂を消滅させる剣の刃はカナリーの足には届かず光壁にぶち当たって砕ける。
光はそのまま影を圧する。
光の中心はカナリーの腕輪、前王朝が誇る最強の魔道具がそれだった。
「きゃっ」
すっごい静電気。
カナリーには光が見えず衝撃をそう感じただけ。
この衣装、化繊なのかな?
この世界の化学レベルでは作れません。
そういえば安っぽい
最高の天蚕使用です。
模様かな? 汚れかな? このカーペット。
超一流暗殺者が気を失って伸びている姿です。
ちなみに貴重な剣は完全消滅しましたのでカナリーはその存在をしりませんし、その剣の損失にチャコール子爵が青くなることも予測できません。
落ち着くな~この部屋。
前世でカナリーが使っていた機能重視のビジネスホテルのシングルルームそっくりです。
おいしそう!
小さなテーブルの上に置いてあったのは個別包装したスコッチケーキのようなもの。
温泉まんじゅうではありません。
ティーセットもありますが、お湯は洗面所の蛇口から汲んでこなければなりません。
先にシャワーを浴びようっと。
床面積の効率的利用でシャワールームとトイレを一体化するのはこの世界でも同じです。
バスタオルが無い!
大人は魔法で乾かせるのでフェイスタオルで体を拭いたりしません。
ソファーに足を投げ出して座る。
衣装はすべて新しくあつらえましたが、パジャマはずっと使ってきたものなので色気が有りません。
ふぅ。
後は寝るだけ、今日は疲れた。
「カナリーっ!!!」
「なに?」
いきなり自分の名前を叫ばれて なに? と返事したら、
ガタガタンッ
何か大きな音がして 開けるな と書いた札がぶら下がっていたドアが勢いよく開いた。




