第43話 訓練始めました・・・
「じゃあ早速始めようかね」
皆の気合が入ったところで修行を開始しようとする祖母ちゃん、実に楽しそうだ。
ちなみにタッくんは日陰で若菜さんに看病されている。
「まずは、この夏合宿のタイムスケジュールを言おうかね」
・朝5時、起床・・・
「意義あり!!」
スケジュールを読み上げ始めた祖母ちゃんに速攻で意義を申し立てる。
「朝早すぎだろ!!起きれないって!!」
俺の人生の中でとても重要な“癒しタイム”を減らすなんて許さん!!てか、俺はそんなに朝早く起きたことはないぞ、今回はクロがいないんだ絶対に起きられん。
「大丈夫、起きられる、起きるさ、起きなきゃ・・・ね?」
「・・・ね?って何だよ祖母ちゃん!!」
起きなきゃどうなるんだよ!!
「・・・続けるよ」
そ、そんな露骨に目を逸らさないでくれ!!何が起こるんだ!?
混乱する俺を尻目に話を再開する祖母ちゃん、後ろでやたらと気合の入ったジャンケンを始める女性達・・・取り合えず朝はちゃんと起きれるようにタッくんに頼んでおこうと決めた。
午前
・朝5時、起床
・6時、掃除
・7時、朝食
・8時〜11時、午前訓練開始(基礎訓練)
・12時、昼食
午後
・1時〜6時、個人訓練
・6時、自由時間
・7時、夕飯
・8時、自由時間(いつ寝ても良い)
「以上、質問は受け付けないからね、それじゃ基礎訓練はじめるよ!!」
祖母ちゃんはうれしそうに開始を宣言した。
〜〜〜〜基礎訓練〜〜〜〜
訓練が始まって20分、祖母ちゃん・母さん・若菜さんの指導の下、俺達は今、基礎訓練なる地獄を体験していた・・・。
「はい、後10分〜」
「雄ちゃんもっと出力上げないと危ないわよ♪」
「懐かしいわぁ〜この訓練はぁ〜」
母さん達の手にはお札がある、いつ投げてくるか分からないお札を防ぐ訓練だ、いつもの俺達なら結構余裕な速度で飛んでくるお札だが・・・
「1、10分・・・は・・・むり・・・」
「け、結構、きっつい、わねぇ」
「ま、まだ、まだ・・・余裕、ですわ・・。」
「ひゃ!!ぼ、ボクだけ、お札・・・多いよっ!!」
「だ、大丈夫?皆?」
摩耶以外の皆は結構きついみたいだ・・・俺はもう限界です・・・。
庭に一列に並び霊気を放出する、此処まではいい、俺も20分ぐらいなら出し続けるのも大丈夫・・・うん、多分。
でも、問題は俺達の頭上それぞれに浮かんでいる最近じゃお笑い番組でもあまり見なくなったタライである。
このタライは頭上に向けて霊気を放出させることによって浮かばせている、これは一点に霊気を集中させる練習で、攻撃力や防御力を上げたり、何か術を使うときなどに必要で、霊能力者にとっての基礎であって、とても重要な訓練なのだ・・・特に“防御力”これは俺にとっては普段を死なずに生活するためにとても大事な訓練なのだ!!
でも、まぁ所詮俺は素人、全く出来ません、一定量の霊気をタライがバランスを崩さないように放出する、でも霊気を出しすぎるとすぐに疲れる、逆に霊気が少なすぎるとタライが頭に落ちてくる、かなり集中しなくちゃ地味に痛い思いをすることになる。
さらに母さん達が投げるお札も意識してなきゃならない・・・初心者な俺には『これってイジメ?』って聞きたくなるぐらいだ・・・もう何回もタライが頭に当たってるし、お札も霊気を結構込めているらしく、当たると結構痛い。
「はい、終了もういいよ」
祖母ちゃんの合図で俺達は崩れ落ちた。
「・・・・・死・・・ん・・・だ・・・」
「き、きっつかったぁー!!」
「も、もう、終わり、ですの?まだ、まだ・・・余裕、でし、たのに」
「う、うぅ〜ヒリヒリする〜」
「皆ぼろぼろだよぉ、大丈夫?」
結果は、タライ+お札で、摩耶ちゃんは無傷、美佳は2+6回、薫子は5+5回、亜弥は3+12回、雄二は30+50回・・・。
ぶっちぎりで俺の優勝です・・・結構へこむなぁ、いや頭がじゃないぞ。
「・・・てか・・・摩耶・・・すごいな・・・無傷って・・・」
「私の得意分野ですから♪」
まだまだ余裕そうな摩耶は嬉しそうに微笑んだ。
麻耶の専門は防御で、霊気を一点に集中させて結界を作るらしく、これくらい出来ないとお話にならないそうだ・・・。
「・・・後で教えてくれ・・・」
「は、ハイ!!喜んで!!手取り足取り教えますっ!!・・・・・・生徒と教師・・・テヘッ♪」
最後の方は聞こえなかったけど麻耶は嬉しそうに承諾してくれた、何か笑顔が怖かったけど・・・気のせいかな?
霊気を集中させるのは苦手だけど防御力は上げたい、夏休みが明けたらまたあの逆鬼ごっこが始まる・・・少しでも生存率を上げねば・・・。
「ハイ、じゃあ次行くわよ♪」
「・・・待ってくださいお母様・・・まだ、動けません」
まだ休憩を始めてから5分も経ってませんが・・・殺す気ですか?
「美佳たちもまだダウンして・・・・」
「駄目よ摩耶!!そんな羨ま・・・駄目!!」
「そうですわ!!抜け駆け禁止ですわ!!」
「ボクも混ぜないと駄目だからね!!」
「ふぇ〜楽しみです〜♪」
さっきまでバテバテだったはずの美佳たちは元気良く言い争っていた・・・これが女子高生パワーか・・・。
「とても元気ね♪それに雄ちゃん動けないなら母さんが介抱して・・・」
「次行きましょうお母様!!」
動かない体に鞭をうち起き上がる、これは根性が付きそうです、良かったなタッくん・・・。
何故か溢れてくる涙を拭いながら、俺は短い休憩に別れを告げた。
またまた遅くなりました・・・こんな私の小説を見捨てずにいてくれて感謝いたします。
やっと修行始まりましたよ、やっと書きたいことが書けそうですw ではでは次の話も頑張りますのでよろしくお願いします。