第42話 修行ッス!!
〜〜〜とある部屋〜〜〜
神楽寺に何故かある道場の一室で彼は激しく動き回っていた。
「違う!!もう一度最初から!!」
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・うい」
今俺は夏合宿なる物に参加している・・・それというのも・・・
〜〜〜〜神楽寺〜〜〜〜
「ってなわけで、修行してもらいます♪拒否な人は挙手♪」
「ハイ!!」
背筋を伸ばし、元気良く手を上げ拒否を訴える。
「いませんね、じゃ、この書類にサインと判子を・・・」
・・・分かってたけど、無視はきっついなぁ〜・・・
いつものように諦め、母さんから手渡された書類に目を通す・・・
〜〜〜〜契約書〜〜〜〜
1;途中で修行を諦めない!!
2;試験官 (御母さん)と私と若菜の命令は絶対である!!
3;夏合宿らしく修行後は楽しむ!!
4;死んでも文句は言わない!!
5;雄ちゃんは私の部屋で就寝する!!!!
6;時々これらに何かを追加するけど文句は言わない!!
これらを破ったものは・・・罰ゲームよっ♪
氏名_______
・・・とりあえず5番は消してっと・・・
「母さん・・・人が死ぬような修行なんか?」
「大丈夫よっ、閻魔さんに裁かれる前なら引き戻してあげるから♪」
・・・なんか聞いちゃいけない事聞いたような・・・
とりあえず死ななきゃいいや・・・皆サインしてるし・・・
「ハイ♪契約成立ね♪っじゃ御母さんよろしくお願いしますね♪」
「うむ、この間タマモにお前さんたちの試合を見せてもらった、その感想から話そうかね・・・」
な、何か緊張するな・・・
「まず、若菜の孫娘のお前さんかね」
「あ、あたしから?」
祖母ちゃんが指差したのは美佳。
「お前は霊力の扱いはなかなかだが、状況判断・戦術がまるでなってない、仲間に指示を出すならもっと素早く、的確な指示をださんか」
「は、ハイ・・・」
うわっ、美佳めっちゃへこんでる。
「まだまだ言いたいが日が暮れるから止めておく、それとこれだ・・・」
祖母ちゃん何処からともなく封筒を取り出し美香に渡す。
「?・・・ふわっ!?」
封筒に入っていた手紙を読んだ瞬間真っ赤になってあわあわしだす美佳。
「どした美佳?」
「な、何でもない!!何でもないの!!!!」
まったく何でもないようには見えないけど・・・
「次は、弓の名家、小笠原家のお前さん」
「ハイ」
次は薫子、何か余裕みたいだな薫子・・・。
「お前さんは、矢の命中率以外はまったく駄目だね」
「なっ!?なぜです!!」
珍しく怒りの表情を見せる薫子。
「弓を持つものとして、決定的な弱点をまったく自覚せずに、克服しようともしないお前さんだからまったく駄目なんだよ」
「私に弱点などありません!!」
ど、どうしたんだ薫子?
「はぁ・・・まぁ気づくところから修行かね、お前さんは・・・それから、これな」
激情している薫子にため息を吐きながら美佳と同じく封筒を渡す。
「なんですの・・・・ぴゃっ!?」
さっきの怒りが一転して、何か暴れだした薫子。
「な、なあどうしたんだ?」
「ななななな、何でもありませんわっ!!」
顔を真っ赤にしながら後ずさる薫子。
「さて次は、雪村流剣術の次期当主」
「ふぁい!!」
完璧にびびってるぞ亜弥・・・ってか、亜弥って雪村家の次期当主だったんか。
「お前さんは、身体能力はそこそこだが、剣術がまだまだ荒い、剣筋も甘い、せっかくのスピードを生かせていない」
「うぅ〜〜」
ちょっぴり涙目になりながらうめく亜弥。
「もっと剣術を学べ・・・」
やっぱり亜弥にも渡される封筒。
「うぅ〜〜・・・はにゃ!?」
封筒を開けるとやっぱりあわてる亜弥・・・
「何が書いて・・・」
「き、聞かないでぇ〜〜〜!!!」
絶叫しながら暴れだす亜弥・・・本当に何が書いてあるんだ?
「次は、世にも珍しい結界術士」
「ひゃい!!」
「お前さんは、もっと考えろ、工夫しろ、それに守ってばかりじゃ勝てないよ」
「???」
摩耶はよく分からないのか首をかしげている。
「まぁしっかり考えな・・・」
そして渡される謎の封筒・・・
「ふにゃ!?」
奇声を上げてわたわたしだす摩耶・・・
「なあ・・・」
「いやああああああ!!!!」
まだ何も言ってないのに逃げるなんて・・・軽くへこむぞ。
「後は、雄二あんただね」
(ゴクッ)
一体俺にはどんな評価が下るのか・・・
「ど素人のお前には言う事はない、とにかく死ぬ気で修行しな」
・・・なんか一番ひどい評価のようです、泣きそうです
「さて、早速修行を始めようかね」
落ち込んでいる俺を無視して修行を開始しようとする祖母ちゃん・・・ってあれ?
「祖母ちゃん俺に封筒は?」
そういえば俺だけ封筒を貰ってない、ものすごく中身が気になるし・・・
「お前には無し、それにあれはあの子達のやる気を向上させるためのものだしね」
そう言って美佳達に目を向け一言。
「お前たち修行結果が一番良かったものに、その紙の内容を全て実現させてやろう」
それを聞いた瞬間、暴れていた美佳達の動きが止まり、視線が祖母ちゃんへ、そして俺に向く。
「「「「・・・・」」」」
俺は思った・・・食われると。
この世に産まれてから何度も感じたこの感覚・・・間違いない。
ハイキングで行った森の中で野生の熊や狼、何故かいたキツネからは逃げ延びてきたが・・・これは駄目だ、逃げられない。
俺は捕食される・・・。
「「「「やります」」」」
死刑宣告に聞こえたのは幻聴だろうか?
「安心しろ雄二」
「・・・祖母ちゃん」
震える俺の頭を昔みたいに撫でてくれる、ものすごく安心できた。
「お前があの子達の誰かに勝てたら、助けてやる」
昔から変わらない優しい笑顔でそう言った。
・・・無茶を言いますな、あれに勝てと。
「「「「じゅるっ♪」」」」
俺には味方はいないらしい・・・だったら。
「・・・頑張ります」
「うむ、頑張れ」
祖母ちゃんは俺を撫でながら微笑んでいた、昔みたいに・・・
こうして俺達の夏合宿は始まった。
〜〜〜〜おまけ〜〜〜〜
さっきから話に入っていなかったタッくんはと言うと・・・
「・・・殺してくだっ、うっ!?・・・」
「あらあらぁ〜?」
いまだに車酔いに苦しんでいるところを、遅れてやった来た若菜さんに発見さえた。
更新遅れて申し訳ありません。
次回の更新はおそらく早くなるかと・・・・。