第30話 禁句♪
〜〜〜〜ステージ〜〜〜〜
試合開始5分前、初めての試合に俺は緊張感に襲われ・・・てはいなかった、何故なら。
「「「「あぁ、雄二君(様)が女装♪」」」」
「「「「カワイイです♪」」」」
「か、神楽寺、お前なんか、かわ・・・ち、違う!!俺はそんなんじゃねぇー!!」
「「「「俺は男だあぁぁ〜〜!!!!」」」」
俺の女装を見たクラスメート達の訳のわからない叫びに包まれ、恥ずかしかったり、何故か背筋が寒くなったりしているせいで、まったく気が抜けないからだ。
「あっそうだ雄子ぉー♪」
「美佳!!雄子言うな!!」
今まで俺を助けようとする事なく、試合の為に体をほぐしていた美佳が話しかけてきた。
「気にしないの、それより誰から行く?」
美佳がステージを挟んだ反対側を指差す。
「あっ」
いつの間にか対戦が揃っていて、見るからにイライラしていた。
「美佳!!GO!」
「嫌よ、まだ体ほぐれてないもん」
くそ、軟弱者め!!
「もういい!!薫子!!」
「ドレスが動き難くて・・・」
動き易いんじゃなかったのか!!
「亜弥!!摩耶!!」
「「ハゥ♪呼び捨て♪」」
ちょっと怖いぞ・・・
「卓!!」
「あっ、僕は非戦闘員で補助が基本だから」
聞いてないわ!!
あぁ!相手もキレかけてるじゃないか!!
「もういい!!俺が行く!!」
これ以上相手を怒らせるわけにはいかん!!
「「「「「頑張ってねー♪」」」」」
黙れ!!
〜〜〜〜ステージ〜〜〜〜
俺がステージに上がると、既に対戦相手は仁王立ちをしながら俺を見据えていた。
「遅い!!」
「す、すみません」
対戦相手はかなりご立腹のようだ。
イヤイヤ俺もけっこう怒ってますよ、主に仲間のせいだがね・・・
「ちっ!後輩の癖に先輩待たせやがって」
「・・・すみません」
我慢、我慢。
「審判!!早く始めようぜ、こんなザコ!!即効で倒してやるよ!!」
が、我慢、我慢、我慢。
『それでは、大変長らくお待たせ致しました!!グループ戦!!第1試合!!
『優勝は俺達の為にある!!』2ーD代表!!チ〜ム、DESTINE!!』
だっ!ダサ!!運命!?ダサ!!
それに『優勝は俺達の為にある!!』有りがち過ぎ!!センス皆無!!
「ふっ、カッコイイだろ!!運命って意味だぜ!!」
うわぁー、痛いなぁーこの人、うん、絶対馬鹿だ・・・
『続きまして!!『雄ちゃ〜ん♪母さん応援してるからねぇー♪勝ったらご褒美あ・げ・る♪by母さん』1ーA代表!!チ〜〜ム、六尾の狐ぇ〜!!』
母ぁさぁ〜〜〜ん!!??
「カッコイイじゃねぇか!!」
馬鹿がいるよぉ・・・誰か代わってくれぇ・・・
「はっ!!残念だったな!!俺が相手じゃご褒美貰えないな!!」
イヤイヤ、貰う気無いから。
「どうだ!!悔しいか!!」
あぁ、なんかこの人イライラするな!!
「誰がこんな“女装趣味”野郎に負けるかよ!!」
ブチッ
コイツは、今俺に1番言ってはいけない言葉を発しました、皆さんお聞きしましたねぇ、“女装趣味”って。
「さぁ!!来い!!男女野郎!!」
ブチブチッ!!
あぁ、何年ぶりだろ、俺の何かがキレた、懐かしい音が聞こえた気がした。