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砂時計の少女  作者: しんみ
第一章 入学
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-3-

 眠れない。時刻はもう零時を過ぎている。でも眠れない。北沢は布団に入ってから一時間半ぐらい経っても寝れずにいた。何故だろう、一体全体何がまだひきつっているのだろうか。その考えが延々と続く。

 何時間経ったであろうか。数分かもしれないが数時間かもしれない。そして一向に寝れない。矢張学校関連の不安か?そうだとしたら半分辻褄が合う。しかしもう半分は学校関連じゃない気がする。それじゃあ何か、と聞かれても返答に困るのが現在である。むしろ自分自身でも分からないのである。最早何がどうなっているのか、その考えで頭が一杯になってしまって最早寝れない。

 「もう寝る。もう寝ないと身体がもたない。だから寝る!」

 そう自分に言い聞かせて布団を被った。が、寝れない。無意識の内に目が開いてしまう。北沢は自分の心の不甲斐無さに涙が出そうになった。何とか堪えたものの、結局結論が出ず頭の中は路頭に迷った形になった。

 結局、ほとんど寝れずに朝を迎えてしまった。今のところ北沢に奮起する力等無く、只脱力するしかなかった。七時二十五分、北沢は家を出た。普段何度も歩く道のりがとても長く感じるようだった。

 こんな学校だから他人の噂も結構耳に痛い。人なんて特に通りすがりから見たら見た目で九割九分九厘決定付けられてしまう。只東亜の制服を来てるだけで入店拒否の店があるぐらいだ。いや、かなりある。例外は無いのか?無いのである。

 北沢は噂という壁をかろうじてすり抜け、学校に着いた。まだ生徒の姿は無い。只グラウンドには吸い殻や焚火たきびの後が残るのみである。ここからも日本一と噂される不良っぷりがうかがえる。更に悪いことに昨日は無かった他人を中傷する落書きが書かれていた。最早不良の域を越えている。

 話は変わるが、北沢は何時も持っている物がある。古びた砂時計である。何故持っているのか?北沢自身良く分からない。物心ついた辺りからずっと持っている。捨てようとしても何故か捨てられ無かった。全てが謎である。ひょっとしたら何かあるのかもと思い何時も携帯してるのである。だが特に今まで十数年、特に変わった事は無い。まあ別に変わって欲しいという訳でも無いらしいのだが。北沢はかすかな期待と不安があった。ただし元々北沢は神や仏を信じるたちではないので、本当にわずかにしか思って無いようである。

 ホームルームが始まる。四十人いる筈なのに十九人しかいない。ガラガラの椅子と机。そしてその一つ一つがひび割れたり、落書きが目立つのが余計不良の雰囲気をかもし出していた。

 「一体何で来ないんだろ。一体何でこんなんなんだろ・・・。」

 北沢は誰にも聞き取れないぐらいの音量で愚痴を言った。それを何十何百何万と繰り返して言い続けていった。当然愚痴を言っても状況が変わる事は無いので、北沢の口が再び塞がれるのは一時間以上経った時であった。

 この後来なかった二十一人は午前中は姿を見せる事は無かった。

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