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砂時計の少女  作者: しんみ
第三章 実状
11/11

ー11ー

 北沢と蘂川は辺りを見回った。高い塀やバリケードの乱立した状況だが、必ず何処かに入り口めいた物はある筈だと思ったからである。

 しかし、一周してもそれらしき物は無かった。

 「妙ね。こんなたて籠もって食料品無しで長時間持つ訳無いのに。」

 蘂川は極当たり前の疑問を言った。また口には出さなかったが、こうも考えた。備蓄しているか、若しくは誰かに買いに行かせてるか。だが、どちらも可能性としては極めて低そうだった。

 「・・・もう十時だけど・・・。」

 時間は刻一刻と流れる。既に北沢が此処に来てから二時間近く経っている。

 ん?待てよ?北沢に一つの疑問が浮かんだ。去年もこんな事があったなら、その時はどうしてたのか?はたまたどう乗り切る気だったのか?それとも最初から乗り切る気は無かったのか?もしそうだとしたら、何が目的なのかわからなくなってくる。北沢の頭の中は益々こんがらがってくる。頭を抱え込んでうーうー唸って必死になって様々な事を考えている。

 そんな北沢を見ていて、蘂川は何も言えなかった。理由は簡単。蘂川は本来他人との接触は余り好みでは無く、寧ろ一人でいる方が気が楽な事も多かったようである。しかし、北沢に対しては今までと違う何かー、(すなわ)ち感情めいた物が芽生えたのかもしれない。が、会って数日で急には変わるまい。蘂川には北沢にかけるべき声すらもかけられなく、その事は蘂川自身が一番よくわかっている。

 時間だけが悪戯に過ぎて行く。最早為す術も無い。外側には強固なバリケードが敷かれたまま、校舎内の荒れ模様を想像しただけで寒気がしてくる。北沢と蘂川は双方共に沈黙したままである。話す言葉も無い。

 「もう十一時。何も進展しそうに無いな・・・。」

 「得策も思いつかない以上、このまま居るのも無駄って物よ。」

 「そんな!」

 「じゃあ、何か?」

 蘂川に対する応答が北沢は思いつかなかった。またしても北沢も蘂川も黙りこんでしまった。北沢はどう蘂川に反論するのか、蘂川は蘂川でこの後どう言おうかで悩んでいる。蘂川は自分が当てずっぽうにあんな事言ってしまったと後悔している。

 「・・・ごめんなさい。当てずっぽうに言ってしまったわ。」

 「あ、いいよ別に。言ってることはそっちが正しいし。」

 北沢はもう蘂川の強い物言いに慣れたようである。それに蘂川は若干困惑しているようであるが。

 「言葉を借りるようだけど、私も、このまま居るのは無駄だと思う。でも、只帰るんじゃ無いよ。」

 「え?」

 北沢の意外な言葉に蘂川は突っ掛かった。

 「只帰るんじゃ無いよ、・・・そうだなあ、これから時間、ある?」

 「時間ねえ、そりゃあまあ、あるけど・・・。」

 「それじゃあ、ちょっとついて来てくれる?」

 北沢の提案に蘂川はゆっくりと首を縦に振った。北沢と蘂川はそのまま学校に背を向けて歩き出していった。その背後で呻き声や喚き声が聞こえてきたが、それを二人が気づく事は無かったようである。

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