12 三浦海岸のイブ(4)
どこまで歩いても切りが無いため、僕らは堤防の適当な場所に腰を下ろした。
歩いて軽く汗ばんできた体を冷ますために、コンビニで買った缶ビールを開けた。
ビールを飲む高良さんの横顔にみとれた。
高良さんはあっという間に飲み干して、空き缶の頭をアスファルトの地面にこすりつけ、ぐるぐると円を描いていた。
大きな音を立てていたが周りを気にすることはしなかった。
何をしているのかと注目していると、次第に音が変わり、蓋がちぎれて外れた。
近くにとがった石を見つけて、空き缶の下部の側面にいくつか穴を開けた。
落ちていた雑誌を拾い、乾いていることを確認してから何ページがちぎって丸め、乾いた小枝と共に缶に詰めた。
「横川君、ライター貸してくれる?」
とライター受け取って火を点けた。
「キャンプファイヤー。小さいけどね」
はじめは燃えているのかわからないほど勢いの小さな炎で、直ぐに消えてしまいそうだった。
ところがこんな簡単な作りでも上手く空気が流れ込んできて、見る間に大きな炎となった。
アイさんは海岸の水際で、灰色一色の空と海の間に浮かぶ、色とりどりのコンテナを詰んだ巨大な船を見ていた。
これからこちらに来るのか、どこか異国へ旅立っていくのか、推測不可能なぐらい動きが緩慢だった。
アイさんはこちらの様子に気づいて近づいてくると、
「なにそれ。すごいですね」
と感嘆の声を上げた。
「器用なことするなあ。どこで空き缶でキャンプファイヤーする方法知ったんだ?」
と真吾も感心していた。
ミニキャンプファイヤーに近づいて、四人で固まって囲んだ。
時折寒い風が吹く冬の夕方、徐々に暗くなる空の下でいつまでも炎を見ていられそうだった。
四人で囲うには小さすぎるものだったが、炎は不思議と頭を空にしてくれる。
それでいてなにかを想像させてくれる。
それぞれの頭に浮かんだものは、過去でも未来でもあるが、おそらく現在ではなかった。
そして希望のある未来かまでは見通せなかった。ただ、何があってもなんとかなると、炎はそういう若さを映してくれた。




