11 横浜のクリスマスイブ(4)
中華街には新しいフードが途切れることなく登場する。
昔ながらの肉まんも十分においしいが、ちまきにチャーシューメロンパンといった変わり種もあった。
他にもいくらでもおいしそうな物が溢れていて目白押しだった。
僕らはどれも二つ注文して、男女でそれぞれ半分に分けて食べていた。
大抵は立ったまま、または歩きながら食べていたが、時々は休憩もかねて公園などで座って食べた。
アイさんは座るときにタオルを敷き、食べるときには膝にハンカチを広げた。
優雅にそれをこなしていたので真吾は珍しそうに、まじまじと見つめていた。
僕も思わず見とれていると、
「この服はアンティークの生地なんです。私テキスタイルが好きで、こういう服を集めていて。大抵は一点物だから丁寧に扱いたくて」
と言っていた。
アイさんは少し不思議な存在だった。
高校生の頃の高良さんを知らない僕にとって、アイさんもまた知らない人だ。
高良さんにアイさんについて訊いてみたかったが、ちょうどよいタイミングがないままだった。
容姿端麗で受け答えもしっかりしている。
決して前に出るようではなく、かといって後ろに引っ込むわけでもない。
初めて会う僕らでも気兼ねなく接してくれて、それでいて適度にお互いのエリアがある。
あの真吾もすぐに心を許したようで、自然に振る舞っていた。
底知れない魅力がアイさんにはあった。
話のピントが明快で、すぐに的確な意見が返ってくる、そういう人のようだった。
アイさんは高良さんについて、彼女の真実までしっかり理解しているようにも見えた。
たわいのないことで彼女等が声を出して笑っている姿が、見ていて心地よかった。
道行く人もその二人の雰囲気に目をうばわれる瞬間があった。
こうして食べ歩きを繰り返して、喉が渇いてタピオカドリンクを飲んだらそれだけで割とおなかは満たされた。
途中で怪しげな雑貨屋があり、決して買うことはないのだが、奇妙な物を見つけてはお互いに自慢をしていた。
いや買おうとした物もあった。
真吾へのプレゼントとして忍者グッズを買って渡そうとした。
アメリカに持って行けば人気者になれるよとか、僕と高良さんとアイさんで適当なことを言っていた。
真剣に真吾に断られたのでやめておいた。
一軒だけパンダグッズを専門に揃えているお店があり、そこでは丹念に品揃えをチェックした。
高良さんが小さなキーホルダーを手に取り、しばらく考え込むように眺めていた。




