11 横浜のクリスマスイブ(3)
それから店を出ると、山手十番館や外人墓地を通り再び元町に下る。
少し歩いて中華街の朱雀門に着く。
そこからはクリスマス感が消えて、かわりに年の瀬のお祝いムードが漂っていた。
こちらもかなりの人でごった返していた。
「中華街に来るの久しぶり」
と高良さんが言う。
「さっきまでがクリスマスのイベント。ここからは横川君のお祝いね」
アイさんは
「実は私、横浜中華街って来るの初めてなんです」
と通りを行き交う人の波に目を奪われていた。
真吾は
「なんで転校の祝いが中華街なんだ?関係なくないか?」
と少し不満を口にする。
高良さんは
「アメリカに行くんでしょ。きっと中華街があるから、今体験しておくと予行練習になるよ。懐かしくなったら戻ってきたら?」
と言う。
「いや、バークレー近郊に中華街はないのでは?」
と真吾が気づいたので、みんなでまあまあといい、なんとなくその場をごまかした。
要するに、賑やかで楽しければ何でもいい。そういう送り出しをしたかった。
どこかに入ってそろそろ昼食にしようという話になった。
高良さんが
「それもいいけど、歩き回りながら気になったのを買って食べるのも良くない?」
と提案して、みんなその意見に賛成した。
中華街はひと気のない時間に歩いてみれば、思いのほかそこまで広くはない。
こうして沢山の人が行き交っていると、自分たちがどこを歩いているか分からなくなる迷宮となる。
派手な色使いで繰り返しの多い看板が織りなすマジックだ。




