11 横浜のクリスマスイブ(2)
クリスマスイブ兼真吾の壮行会当日、僕らは根岸線の石川町駅で待ち合わせをして、そこから横浜元町を抜けてクリスマスの飾りを販売するお店に行くことになった。
僕と真吾は石川町駅に着くと元町側の改札を出た。
狭い道路を挟んだ向かいにある「ようこそ、元町へ」と書かれた看板の脇で二人の女性が談笑していた。
優しい陽差しの元で高良さんと、傍らには彼女の女友達もいた。
高良さんは白と黒のスニーカーに黒のスキニーパンツ、上は例のもこもこした起毛のジャケットという出で立ちだった。
女友達はオールドアメリカンなシルエットの、ライム色のストライプのワンピースを着ており、柔らかく広がる裾がとても美しく可憐だった。
そしてその上にスタイリッシュなコートを羽織っていた。
学生然とした僕らとはかなり違う雰囲気で、大人っぽくて、品のある装いだった。
立ち振る舞いもなんだか上品だった。
「こんにちは、初めまして」
と言う声に、真吾は緊張していた。
僕も同じようなものだった。
高良さんは彼女をアイさんと呼び、高校生の頃の同級生だと改めて紹介してくれた。
今日一日過ごすにあたり、四人それぞれをお互いにどう呼ぶか決めあった。
元町はすっかりクリスマスイルミネーションで彩られ、通りはどこを見ても楽しげだった。
幸せそうな家族やカップルがゆっくりとした時間を過ごしていた。
僕らも少し浮かれながらショーウインドウを眺めて、時折輸入雑貨や食品が華やかに置かれたお店に入った。
見つけた珍しい物を手に取り、お互いに見せて反応を楽しんでいた。
元町の裏路地のおしゃれなカフェを通り過ぎ、山手の方へつながる坂を登っていった。
そしてしばらくすると、住宅地の中にひっそりと佇むクリスマス用品店に入った。
まるでおもちゃ箱の中のような店内は沢山の人で賑わっていた。
これまで見たことのない、金色が眩しい豪華なツリー飾りや、いかにも海外感のあるアンティークなイラストのポストカード、トナカイのぬいぐるみ、様々な種類のスノーボールが陳列されていた。
高良さんとアイさんはこれぞというスノーボールを見つけては、順番に逆さにして雪を降らしていた。
真吾は「日本にもこういう店があるんだな」とチョコレート缶を手に取っていた。
家族へのお土産にするようだった。




