表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/55

10 元彼と決別するとき(3)

真吾の言っていた不幸を選ぶ権利の話が頭をよぎった。


「何を選ぶのも高良さんの自由だ。不幸になるのも自由だけど、おれの居ないところでそうしてくれよ。目の前で不幸を選ぶ人を見たくない。あいつが君を大切にしていないのはあきらかだし、君の素晴らしさの欠片も理解していないし、見えてもいない。見ようともしていない」


「その不幸になる自由ってなに?私そんな気持ちで物事を選んでないから」


と高良さんが言ったものの、声は小さくなっていた。


そして肩が少し震えていた。


寒さからではないことはあきらかだった。本当は彼女も頭ではわかっている。


どうしようもなく、それを選んでしまう自分のもどかしさに。


「彼が私の元からいなくなったのは、他に女ができたからだって知ってる。私は捨てられたの。わかってる。わかってるわよ。でもその女と縁を切ったって彼が言うから、寄りを戻したいと思った。だって何年も付き合って、一番私のことを知っているから」


僕はこの前のように、ただ話を聞く壁にはなりたくなかった。だから思わず


「でもそれだと単に都合のいい女じゃないか」


と言い、彼女を見つめた。


「それにさっきは少し話している内容が聞こえた。あいつは君の言っていることをちっとも信じてないじゃないか。それでああやって自分の言うことに従わせようとしている」


「だからってなんなの?何か言いたいわけ?あなたには関係ないでしょ」


「君のことが好きなんだ。小学生の頃から」


僕はどうやって話に収拾をつければいいか見当がつかなくなり、思わず口を滑らせてしまった。


彼女は別段驚く様子もなく、しばらく黙っていた。


「情けなんてかけないでよね。それで私のことを拾ってやったって、慰みのつもり?それでいい気分になってるつもり?」


「そんなんじゃない。拾ったとか、そんなことは言ってもないし思ってもない。君こそ決めつけるなよ」


僕はどうやって誤解を解けるのか、わからないなりに伝えたかった。


「他の男が君をどう思ったかとか、どう扱ったかなんて関係ない。ただ、あの小学生の頃には伝えられなかった想いが、細い線でかろうじて君と繋がっているのに気づいたから。この線だけは子供の頃から強く繋がってるって感じられたから。だからやっぱりもっと知りたいんだ」


こんな街中で、こんな話をしている自分が滑稽だった。彼女も同じような心境だったようで、


「・・・ねえ、場所変えよう」


と立ち上がった。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ