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7 彼女との再会(4)
僕は歩きながらも固まって、何も言えなかった。
「え、もしかして、私のことを見てたの?跡をつけて?」
僕はどう答えたらよいか知れず、黙り込んでしまった。
跡をつけてないと言えば嘘になる。
跡をつけたと言えばその理由を語れない。
しばしの沈黙のあと
「最低」
という言葉がどこからか聞こえてきた。
彼女の唇からこぼれてきたと気づくまでに数秒かかった。
彼女の唇もまた震えていた。
彼女は僕から視線を外し、歩く先を見ていた。
「ひどくない?」
そして再び彼女は目をこちらに向けて「信用してたのに」と言った。
気になったからとか、心配だったといえばよいのか。
僕は口を開いても言葉が続かず、息が苦しい金魚のように何度かそうして繰り返していた。
僕も彼女を信じていた。でも真吾の話を信じれば、彼女は子供の頃から嘘をついていた。
信用していたと彼女が言ったところで、たかだか元彼の愚痴を言っても大丈夫という程度の信用だと、急にそんな気になった。
だからひどいも何も言われたくない。そう思った。
もやもやとしている気持ちにけりをつけたかった。だから彼女の言う「バイト」がなんであるかを訊ねただけだ。
僕からようやく出てきた言葉は
「どこで、何のバイトしてるんだよ。お金がないからってそんなバイトするんじゃない」
だった。
すると彼女からは意外な答えが返ってきた。




