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7 彼女との再会(3)

結局本当に知りたい彼女のバイトまで話をつなげられないまま、飲み物もなくなってしまったのでお店を出た。


「送ってくよ。ちょっとここで待っていて」


と僕は急いで自転車を取りに行った。


ここで帰られたらせっかくのチャンスを逃してしまう。


自転車を押して歩きながら、彼女と商店街を抜けていく。


昨日の道を逆に辿るように進む。


色々と高良さんのことを知ってしまった僕は、昨日と同じ自分では居られないとハンドルを握る手に視線を落とした。


話を切り出さないと、切り出さないと、と自分に言い聞かせてなんとか少しずつ言葉を出した。


「あのさ。昨日、あのあと大丈夫だった?」


「え、なにが?」


「雨が降っていたし。あの後結構降ったから」


「ああ、大丈夫だった。それに昨日は本当に、色々と付き合ってくれてありがとう。助かった」


また話題がずれそうになる。わざとかわそうとしているのだろうか。どうにか話の筋を『あのあと』に戻したかった。


「バイトのところに着くまで、雨は降ってなかった?駅から遠い?」


「それほど遠くはないから気にならなかったけど」


駄目だ。どうしても切り出せない。真吾のようにずかずかと割り込んで行く勇気もない。

そうしていると彼女から訊いてきた。


「・・・なんでそんなに気にしてるの?」


僕は答えに詰まった。


彼女がこちらを鋭く見ている視線に気づいた。


話の方向が聞きたい方向に向かっているのだから狙った通りのはずなのだが、急激に向かうと得も言われぬ不安感に襲われた。


「いやべつに、なんとなく。寒かったし、風邪引いたりしてないかなと心配して」


「ありがとう心配してくれて。全然大丈夫だったよ」


そうしてまた本命の話題からずれていきそうになる。


僕の足は歩きながらも少し力が抜けるように震えていた。


このままでいいやという自分と、真吾から聞いた話は間違っていると証明したい正義感に駆られた。


でもなによりも、このうやむやな気持ちが行き場をなくしたままだと、これからずっと心が落ち着かなくなりそうだった。


知らないでやり過ごすことは難しそうだった。


少し震える声を、震えないように努力しながら


「ところで、バイトって、どういうバイトなの?」


とカジュアルに聞き出すフリをした。


彼女はやはりなにか気になるようで


「どうしてそんなに気にしてるの?」


と返してきた。


先程の鋭い視線が一転して、彼女が優しく純粋な目でこちらを見ていることはわかった。


だから僕は耐えられず、おもわず


「バイトって駅から少し離れた、あの当たりって、堀之内の方?」


と言ってしまった。堀之内は川崎の特殊浴場のある地域だ。


途端に彼女は突き刺さるような視線をした。


「なんで場所を知ってるの?」


彼女は僕の心の内側を貫いて、真意まで突き刺してそのまま表に抜き出そうとする瞳で見てきた。

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