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6 夢と希望に満ちていた(1)

僕はなにか役に立つものを生み出す人になりたかった。


幼い頃に見たロボットもののアニメの影響や、SF漫画や小説の影響もある。


だが一番のきっかけは子供の頃に連れて行ってもらった万博の体験だ。


優秀なロボットが格好よく活躍していたわけではない。むしろその逆だ。


細々と目立たないところでコツコツと動いていたそれを見て、自分と似た印象を抱いた。

本当に必要なロボットとは派手で目立つものでは無く、多くはこういった地味なものだろうと。


地味であろうとどうだろうと、多くの数が出回る可能性があればそれだけ売り上げがある。


売り上げるということは儲かるということだ。将来食べるに困らない職にありつける可能性も高まる。


だから大学でロボット工学を専攻していた。


僕の知識や技術は未熟で直ぐに世の中で役に立てる訳ではないが、いつかは大きなことを成し遂げるつもりだ。


世界的には人口が増えていても、いたるところで人手が足りないといわれる。


多くの人が関わっていても、仕事の環境としては改善がされないままという仕事もある。


そういう仕事も含めて、ITやロボット技術で補い、いっそのこと代わりになれば多くの人が救われる。そう、沢山の人を救いたいという志なんだろう。


高良さんには看護師になる夢がある。それは僕と同じで人を救いたい、人のためになりたいという希望が夢に向かわせている。きっと。


彼女と同じ方向性で夢に突き進んでいると思えば心強かった。


でもそう考えを巡らせるたびに、彼女の昨日の夜の行動が気になって仕方がなかった。


正直に言って、跡を付けたことを後悔していた。


それは彼女に対しての裏切り行為であったと、今になって認めるからだ。


ただそのお陰で忘れかけていたこと、気づかなかった事に気づいたのも事実だ。


あの頃は、つまり小学生の頃は彼女のことが頭を占めていた。


今彼女のことを改めて考えるとき、自分の心がみえなかった。


自分の気持ちは意外にもすっきりと見通せそうでいて、あまりに透き通っていてむしろ見えない。


研究室から赤い電車に乗って帰宅する途中、つり革に掴まっていると彼女との記憶が更に甦ってきた。


小学生の頃の記憶だ。僕は実家から大学に通っている。家でよく料理をする。でも別に料理が好きなわけではない。


彼女が目の前にひょこっと現れるところを想像する。それは家庭科の授業のワンシーンだ。


そして高良さんはこう言う。僕が鮭のムニエルを焼いている手元を見つめながら


「今の時代は男も料理が出来ないとだめだよ」と。


思い返せばそう言われたから料理をしているのかもしれない。

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