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5 研究室(1)

「昨日、高良さんに会ったんだ。成人式以来だった」


僕は大学のゼミの研究室で、同じゼミの友人である横川真吾に話しかけた。


彼がプログラムを書いているのを邪魔しないように、タイミングを見定めながら。


研究室といってもゴロゴロといたるところにロボットの部品が置かれており、どちらかといえば工作室と呼ぶ方がしっくりときた。


いつも時間があれば入り浸っていた。いや時間がなくても僕と真吾はここに入り浸っていた。


真吾は画面を見続けながら「誰だっけ?」と訊いてきた。


「覚えてない?真吾は成人式に来てなかったっけ?高良さんは小中学校で同学年だったから覚えてない?同じクラスだったこともあるし。中学校ではソフトテニス部にいた」


「ああ、その高良か。知ってる知ってる。でもなんでそんなに突然?」


「高良さんから連絡があったから」


「だからなんでそんなに突然?何の用事で?」


「いきなり連絡の理由を訊くのもなにか変な感じがしたから、とりあえず会うってことにした」


キーボードを打つ音は途切れない。彼のこだわりのメカニカルキーボードがザクザクとタイプ音を大きくして部屋を響かせる。


ややあって口を開いた。


「・・・で、結局なんだった?」


「公園で待ち合わせした。お前も覚えてるだろ、タイヤ公園。みんなで小学生の頃よく遊んだあそこ」


「・・・ああ、あそこか。変なところで待ち合わせするもんだな」


真吾は鼻から深い息を吐き出しながら、腕組みをしつつ答えた。


そのまま椅子の背もたれに体重をかけて、ひっくり返りそうなぐらい反っていた。


真吾とは小学生からの付き合いだ。中学までは同じ学校だった。


高校は別々の場所だったが、気づいてみれば同じ大学で同じ専攻課程になっていた。


真吾は昔から論理的で信じられないぐらい頭の回転が速く、物覚えも良くて、成績が良かった。


いわゆる神童、天才というのに当てはまる存在だった。あまりにずば抜けていたため、公立にいることがみんなの謎となっていた。


中学校へ進学する段階で私立に進むという選択肢がいっそう広がる。


それでも公立の中学校に通っていることで、むしろ憶測やうわさを呼んだ。


実は家が貧乏なのではないかとか、素行に問題があるのではないか、親に問題があるのではないかとか、いろいろと。


小学生の頃は何度か同じクラスになったことがある。


高良さんとも同じクラスで、三人同じだったときもあった。


でも僕にとって真吾は優等生の中の優等生だから、そのころは別段仲のいい友達という訳でもなかった。


それでも中学生活の中でいつの間にか一緒にいることが多くなり、気づけば何でも話せる親友となっていた。


もっとも真吾からすると親友とかそういうふうには、とらえていないかもしれないが。


その後真吾は私立の高校へ行き、僕は都立の高校へ進学した。


すっかり連絡することもなくなっていた。ところが受験するにあたり、友人づてに真吾も同じ大学を受けると知った。

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